ファゴットの吹きかた

ファゴットの吹きかたとはなんぞや、と日々葛藤するブログです。

第11回発表会でした。講評とか次回のこととか。

こんにちは。いつの間にか今年度も終わり、新しい年度が始まりますね。

新入生のみなさま、新入生を迎えるみなさま、新社会人のみなさまなど、新たな環境でも楽しく演奏していきましょう。

 

さて、先日、第11回門下発表会がありました。

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この発表会は、いつも初心者から上級者まで幅広い参加者がいるのですが、コンセプトは「曲を人前で演奏すれば手っ取り早くうまくなるはず」というところから来ているため、どなたでも参加でき、基本的に好きな曲を好きなように演奏してもらっています。ファゴットのソロ(プロのピアニストによる伴奏、レッスン1回無料)かアンサンブル(レッスン1回無料)でのエントリーを受け付けています。

それにしても今回はとてもレベルが高かった。技術的なものではなく、曲の完成度や個々の成長具合が歴代最高だったかと思います。魅力的な演奏をたくさん聴いてとてもいい刺激になりました。

今回も僕自身もしっかり演奏しました。やはりきついのですが、今後とも色々と挑戦して行こうかと思います。

 

次回発表会のご案内です。

2018年7月8日(日)お昼頃開演、会場未定(決まり次第記事更新します)

ファゴットソロ(社会人)14000円

ファゴットソロ(学生)10000円

・アンサンブル(社会人・学生)1人6000円

※かけもちも可能、各レッスン1回無料

 

参加エントリーやお問い合わせは

発表会参加・お問い合わせフォーム

までどうぞ!

 

さて、恒例の講評タイムです。参加者やお客様以外には読んでも面白いものではないかと思いますので、次回記事をお待ちください・・・

 

1.コンチェルティーノ/ダビッド

主催者による演奏でした。どうしても企画運営やレッスンの方に気が向いてしまうこの会において、僕自身も生徒たちと一緒に演奏に向き合う、ということを前回からはじめています。

今後とも続けていきたいところ。

 

2.ファゴット協奏曲/ウェーバー

初めてのソロとは思えない、堂々とした素晴らしい演奏でした。2曲目にしてMVP決定か?と思ってしまったくらい。

とにかく楽曲の面白さが全プログラム中、最も発揮された演奏だったと思います。ささいなミスなど、本当に気にならないくらいに。

ソロを演奏するということは、演奏より前に大人数の前に出ることです。もし気にすべき点があるとすれば、その「見られている」感覚をもう少し養った方がいいかもしれません。また、ピアニストとのアンサンブルについてはもう一息あってもよかったかも。練習の時、ピアノからどんな音が鳴っているかの想定をあまりしていなかったように見えました。改善点があるとすればそのくらいでしょうか。

 

3.ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」/ベートーヴェン

 

いわゆる「古典らしさ」や「ベートーヴェンらしさ」がとてもよく発揮されていました。吸収力の高さは2人ともさすがでしたが、この経験を生かして今後はもっと「らしさ」の出し方を研究していってほしいです。

クラリネットはもっとファゴットを見て。ファゴットは優しく寄り添うだけの楽器ではありません。相方のいろんな面を引き出すのも実力なのではないでしょうか。

ファゴットはもっと低音域の響きがピアノに溶けるよう意識できるといいです。そういった音を使えるようになればオケの2ndなどでも大活躍できるかと思います。

 

4.ファゴットソナタfmoll/テレマン

バロックもの得意」を名乗っていいかと思います。それだけ素晴らしい演奏でした。ほしいのは音楽的な「安定感」でしょうか。素晴らしい感覚を持っているのですが、その発揮のされかたにブレがあります。ピアニストへの反応は大変よかったです。通奏低音と二重奏、という感覚を掴めたのではないでしょうか。

装飾音符は「入れるために入れる」のではなく、音楽表現を彩るために入れられるとなおよかったです。

先生としての印象は、「ファゴットの吹きかた」そのものを一緒に見つめていけたらいいなと思いました。基盤となるテクニックが安定すれば、音楽的な安定感にも繋がるかも。

 

 

5.5つの小品/イベール

この発表会においていわくつき(?)なこの曲でしたが、大変な名演で1部のトリにふさわしかったと思います。

合図を出す人以外の2人が、それに反応して体を動かすのがちょっと気になりました。合図は静止して見ましょう。代わりにブレスを一緒に吸うと曲頭がもっと合います。

オーボエは技術より積極的な音楽を。トリオダンシュにおいてコンサートマスターのような立ち位置なので、オーボエが見せる音楽以上のものは生まれてきません。責任重大。

クラリネットはバランス感覚がとてもよく素晴らしかった。ソロの部分がもっと魅力的に吹けるといいです。やはりどちらもできないと。

ファゴットは響かせる音と周りに溶かす音がもっと切り替えられるとよかった。いい意味でも悪い意味でもいつも同じ音な印象があります。

 

 

6.ファゴット協奏曲/フォーゲル

前回同様、ステージ上のふるまいを覚えましょう。緊張しててもそれだけはできないと。お客様を大切に。

「できなかったこと」より「できたこと」を数えましょう。成長度合いで言えば君が一番です。丁寧に練習したらできなかったことができるようになっていく、という感覚を決して忘れないで。上手くなるということはそーいうことの連続です。

ピアノの先生にお礼の手紙を書きましょうか?

 

7.5つの民俗的小品より/シューマン

「変な曲やってください」というリクエストにいつも応えてくれてうれしいです♡

僕個人としては、やりたい演奏表現が誠実ではっきりと見えるのがとっても好みな演奏でした。

フレーズが少し短いことと、弱奏部にもう少し色や起伏があるとなおよいかもしれません。楽器がきちんと鳴っていますので、「きちんと」以外の鳴らしかたを覚えるとまた魅力的になっていくんじゃないかなと思います。

 

8.ファゴット協奏曲1楽章/ウェーバー

今回レッスンで一番厳しくしたような気がします。

「ここはなんとかなった」と自覚する箇所、自分で思ってる以上にうまくいっていたと思います。素晴らしかった。ここまで頑張ってきてくれるなら厳しくした甲斐がある、かも。

曲のことや克服すべきテクニックについてはレッスンで十分語っているのでここれは割愛。またじっくり挑戦していきましょう。うまくなるのってたのしいよ。

 

11.ファゴット協奏曲2.3楽章/ウェーバー

礼、身だしなみ、演奏時以外のふるまい。少し気にしましょう。演奏以外で他人の評価を下げてしまわないように。

自分のためではなく聞いている人のための音楽をしましょう。それができないほど下手ではないはずなのに、どうしても独りよがりに聞こえる傾向にあります。

「こう演奏する」としっかり決めたところと「こんな感じ?」と曖昧に決めているところがはっきりと音に出ています。密度に差があると聞いている人に飽きがきやすい。

3楽章へのこだわりが足りない印象でした。指をさらうというところから離れるべき。

2楽章はなかなかにおもしろかったです。歴代には及ばないものの、2、3楽章のハードルを下げることもなかったと思います。よく頑張った、というより、よく考えたね。

 

12.シシリエンヌ/フォーレ

やるべきことを きっちりやってきた、誠意あふれる演奏でした。 今後はそれに、自分の「こうやりたい」が乗ればさらに面白くなるでしょう。練習を成果にしていく面白さを忘れずに今後とも頑張っていってほしいです。

今回できるようになったことを、今後すべての譜面できっちりやっていけば見えてくるものも変わり、やりたいことも増えていくんじゃないかなぁと思います。選曲も君らしくて大変よかった。次が気になるところ。

 

 

13.管楽五重奏曲ハ長調/ライヒ

念願の木管五重奏でしたね。合わせの成果がきっちりと出ていて、安定感のある演奏でした。ライヒャはダンツィは曲の迫力にかまけてなんとなくやる、みたいなことをすると全く面白くない演奏になりがちなのですが、魅力たっぷり引き出せていたと思います。

チューニングの前にA以外の音を出すと嫌がる層がいます。もし問題なくAが出るようならチューニング前に別の音を出すのは控えた方がいいかも。

自分のソロ以外でフルートが過剰に動くのが気になりました。見られている意識を。

木五のクラリネットは何をおいてもまずは安定感がほしいところ。これでいいや、をたくさん感じてしまったので、もっと理想高くいきましょう。やってできないことはないのは知っています。逆にフルートは高い理想が前提で、それに至るプロセスが荒いような印象です。難しいところを「なんとかなっている」ではなく、その難しさが面白く聞こえるような演奏を目指してほしいところです。

ホルンはバランスを取るのが難しかったかと思います。会場での鳴りをすぐに察知して調整できるとなおよいかと思います。プロのホルン奏者でも難しいことのようですが、挑戦していっていいかと思います。

ファゴットはバランスがよく、支える音色が見事でした。自分の見せ場でもっとオラオラ演奏できるといいですね。

とまぁ随分なことを書きましたが、僕個人としてはとても好きな演奏でした。個人技がもっと光っていてほしかった。5人で光るのではなく、1人1人が光っているからこそ木管五重奏なんじゃないかな。

 

14.ルネ王の暖炉/ミヨー

まずはステージマナーです。これが良くないとどんないい演奏も受け入れてはもらえません。

木管五重奏がいい演奏をする方法はただ一つ、「個々がいい音を出す」です。そういった意味で、まだまだやれることがそれぞれあったのではないでしょうか。

全体としては、曲の情景が良くみえていい演奏でした。それぞれが考えバランスを取って音を出していていい感じでした。

フルートは譜面の表面を追うことにリソースをもっていかれていて、面白みにかける印象でした。曲のシーンにあった音色やビブラートは天性のものでしょうか。単純に楽器の奏法よりも音楽を演奏する、ということをもっと知っていった方がいいかもしれません。

オーボエは演奏への思いを強く感じました。その思いはいい方へも転びますが、他の4人をなんとかしようと無理をして自滅するシーンが何度か見受けられました。いい意味でもっと自分勝手に演奏できるといいかも。

クラリネットは素晴らしいバランス感覚でした。やはりソロパートの魅力がイマイチです。木五でクラリネットに集中して聴く人もたくさんいるかと思います。魅力的に!

ホルン・ファゴットは他人に構い過ぎて自分を見失うことがやはり多かった。低音パートとしてはよいのですが、やはりソリストしてもっと面白くないといい演奏には繋がりません。ファゴットはもっと「支え」の音色を身につけましょう。

 

 

15.ファゴットのための組曲/ロンゴ

技術的な成長をとても感じました。音色、指や舌の動き、その結果としての音並びがとても美しかったです。技術的な成長は結果として、音楽的魅力をもっと感じたかったところです。もっともっと欲をもって演奏していってほしいと思いました。

 

 

16.プルミエソロ/ブルドー

フォルテがない!結果として、息を入れないために出ていない音がかなりたくさんあります。よくまとまった無難な演奏、を越えましょう。ここまで聴き映えする曲でその印象はちょっと問題です。いい音も結構ですが、息のコントロールをもっと使って演奏するようにしましょう。

全体としては、ドラマを感じるいい演奏だったかと思います。よく和声を感じて演奏している印象です。努力してやっているなら素晴らしいし、なんとなくでやっているならそれはそれで素晴らしいところ。

いいダシが効いているのだけど塩分と油分が不足しすぎていて、栄養価がない、そんな印象でした。

最後のトリルはお見事。それだけうまくできるのなら前から繋げた練習もしてきてほしかった(してなかったでしょ?)

名演ゆえに、惜しい、と思うシーンの多い演奏でした。自分の伸び代を信じてもっともっと。

 

15.ファゴットソナタ/ハールストン

ステージでいい顔するようになったね。

1楽章のはつらつとした曲想、2楽章の色彩感、素晴らしかった。曲の魅力という意味では、MVPクラスだったと思います。

いつも2~3回目のレッスンでようやく「いい音でいちおう音がならぶ」状態になるのだけど、そこから1回目、くらいのさらい方をそろそろ覚えればもっと化けるんじゃないでしょうか。伸びた音にもっと方向性や意思を持たせましょう。

ピアノ伴奏のない部分の作り方は見事でした。なにより演奏を楽しめるようになってきたような印象です。でももっと楽しいはず!

 

 

16.トリオソナタ/コレッリ

様式、といいましょうか、雰囲気のある演奏でした。クラリネットのppは本気でやりすぎるとこの手の作品に合わないかもしれません。音量ではない方法でみせられるともっと素敵ですね。本気ppはほんの一瞬出すくらいでいいのかも。

チェロはもっと弾いてほしかった。次回はもっと派手な活躍の仕方をする作品に挑戦してほしいです。

装飾音符の入れ方は素敵でした。わかっていたのでしょうから、最初から決めて練習しないと二度手間です。

作品がら、アウフタクトにきちんと意味を持たせましょう。それを聴いて踊り出すのです。

アンサンブルのなかでも完成度はトップクラスでした。

 

17.ファゴットとピアノのための組曲/タンスマン

 

最初のAだけで金一封モノ。素晴らしい演奏でした。

自他共に認めるような「安定してるけどおもしろくない」というタイプだったと思うのですが、いい意味で変わらずその路線のまま、君は君らしいままこの大曲を魅力たっぷりに演奏してくれたこと、僕はとっても嬉しかったです。

変化していくことだけが全てではなく、今の形のままで洗練していくようなさま、新たな発見でした。お見事。

テンポが速いシーンで、曲や雰囲気に合った音色の変化があったらもっと素敵だったかもしれません。

 

 

18.ファゴット協奏曲/モーツァルト

20.モーツァルト

初参戦でこの大曲、お疲れ様でした。

誠実な練習はとても得意なようですが、正直いうと最初見たときはとてもモーツァルトではなかったです。一生取り組んでいくこの曲において、今回グッとこの曲に近づけたこと、苦労はあったと思いますが誇りに思ってよいとおもいます。

不自然なテンポの伸び縮みが少し気になりました。一人で吹いていても伴奏系が聞こえてくるような演奏を。

これだけ曲に向き合えるならどんな曲も怖くはないと思います。次の選曲・演奏も楽しみにしています!

カデンツァもお見事でした!なかなかそのクオリティのモーツァルトは聴けないかと思います。

 

 

19.ファゴット小協奏曲/ビッチ

「ゲストの人にはみんなが憧れるような演奏を」と僕が思うようになったのは君の演奏を聴いてからです。すべての音符から感じる説得力のようなものをいつもとても尊敬しています。お弟子さんの指導もあるなかお疲れ様でした。またぜひ演奏しに来てください!

 

22.セビリアの理髪師より6つのアリアより

レッスン時にお互いの得手不得手について話しましたが、見事克服されていてびっくりしました。原作オペラの雰囲気がとても感じられてたのしい演奏でした。合わせるべき和音をきっちり合わせているのもとっても好印象でした。

素晴らしい相棒っぷりでした。2人でオケに乗っているのもちょっと見にいきたいところ。

ファゴット吹きは他人に影響を受けて上手くなっていく生き物かと思います。これからも2人で影響しあっていけるといいですね!

 

 

23.ディベルティメント/モーツァルト

それぞれの役割をよく果たしていた三重奏だったと思います。おそらく3rd以外は役割が苦手分野だったかと思いますがきちんと成長していたと思います。1楽章はもう少しスピード感がほしかったかな?

やはりファゴットといえばモーツァルト、1つでも多く作品に触れていってほしいです。願わくば3人でも一人増やしてでも続けていってほしいメンバーです。

5楽章の出だし、2ndよくつけました。1stはなにかご飯でもおごってあげましょう。笑

3rdはふわっと低音に存在することにかけては右に出るモノはいないと思うのですが、ファゴットアンサンブルの下パートはそれだけではつとまりきりません、どんな編成よりも低音域に責任がありますのでこれを機にどんどん挑戦していってください。

 

24朗唱、シシリアーノとロンド/ボザ

恥をしのばずよく音出ししました。その手の開き直りは大切です。

新しい楽器のパフォーマンスがここにきて生かされてきたように思えます。

ハイEおみごと!ドヤ顔含めて値千金です。

また一皮むけたように思えます。君のファゴットはやはり門下生たちの憧れなんだなと思います。

もっとわざとらしく表現していい部分がたくさんあったので、まだまだいろんなレパートリーに挑戦していってください。

 

25.ボザファンタジー

冒頭の雰囲気、最高です!空気を一人で作れてしまうのは才能ともいえます。すばらしい。

ピアノ伴奏のあるときのpp、もう少し溶けたり響いたりする感覚を持った方がいいかもしれません。ppを出すのが目的ではないはず。

難曲を難曲と感じさせないような演奏、素晴らしかったです。今後は音色の操作が課題でしょうか。響く音、溶ける音、大きい音、小さい音、この4つの組み合わせだけでかなりの種類の音色がつくれます。

 

 

26.ノクターンとダンス/ボザ

堂々としていて好印象でした。いい意味でソロのステージになれてきましたね。

pで演奏するとき、中身がもっと色々あってよかったのではないでしょうか。小さく吹くことで精一杯にならないように。そこまで小さい音は期待されていないものです。

低音の鳴りがとても良かったと思います。思うのですが、そこまで低音が鳴るリードでハイEを出すのはちょっと難しいかもしれません。結果として出ましたが、そこに折り合いをつけられればもっとスムーズな音が出たのかも。

 

27.三重奏曲/フランセ

主催者挑戦シリーズその2。余裕のかけらもなく挑戦しましたが、皆の反応を見ているとやってよかったなと思います。素晴らしい相方にも恵まれました。

 

28.ファゴットソナタ/グリンカ

冒頭に関しては、厳しいことを言うなら、この曲は初見で譜読みした段階で1~2分譜読みしたら冒頭くらいはパッと吹けちゃう人がやる曲で、できるかできないか、くらいの状態で本番だとほぼできない曲、なんだと思います。2回目はよく当てました。

とはいえ、本来それを吹けなくはないことは僕は知っていますのでそれでも「上手くなった」の一言を送りたい。ピアノとのアンサンブル部分の音色・音量操作なんかはさすがでした。本番でできていることは君の能力のほんの2割程度だから、それを引き出す技術を今後もっともっと磨いていきましょう。

とりあえずピアニストに(謝罪ではなくお礼の意味で)頭をさげることです。

後半調子が出てきた、ということは音出しが足りなかったのかもしれません。当日の時間の使い方をもう少し調整してもいいかも。

 

27.幻想小曲集/シューマン

驚いた、ソロの時は別人のようですね。レッスン等の成果なのでしょうか。いずれにしろプロとして仕事の来るタイプの吹き方だと僕は思いますので、レッスンで言われたことをその場限りの頓服薬にせず、初見のものにも発揮していければ仕事なんてあちら側からやってきてくれるのではないでしょうか。

きになるとすれば和声感でしょうか。すこし楽譜を横ではなく縦に見ればまた違ったものが見えてくるのではないでしょうか。

2楽章の即興性、僕はすごく好きでした。

 

28.ファゴットソナタ/サンサーンス

何回吹いても冒頭のGは嫌です。

サンサーンスの洗礼は十二分に受けたのではないでしょうか。自分でどう思っているかはわかりませんが相当にハイレベルな演奏だったと思います。

pの中にもっと色や形があってこその作品だと思います。fにはたくさんあるのに・・・crescも急すぎることが多いようです。

ハイEへのこだわり、みせてもらいました。その心意気に感動しないファゴット吹きは存在しないでしょう。

音色もテクニックも相当なものです。それを発揮するための音楽的経験値が少々まだ足りてないのだと思います。まだまだ人生長いですので、いつかまたこの曲に挑戦してほしいなぁ

もっと迫力系の曲のが得意なのでしょうか?

 

 

29.ファゴット協奏曲/シュターミッツ

大ブラボーでした!好きと得意と技術がマッチするとここまでハマるのかと。本来ならMVP間違いなしです。相手(タンスマン)が悪かった。

まだまだ古典作品を楽しめる余地がありそうです。以前見えた無理な奏法も随分改善されてみえますので、今後とも色々と挑戦していってくださいね。

歴代最高クオリティのシュターミッツ、とは思っていましたが、ここまで魅力的に吹いてれるとは!

 

30.パパゲーノの歌/モーツァルト

挑戦しただけで素晴らしい、音が並んだら最高、くらいに思っていましたが予想の遥か上をいく演奏でした。

この曲のもつ面白さもきちんと表現されていました。劇的に成長した一人だと思います。他の人の演奏を聴けなかったのが残念です。次回はぜひ最初から最後までご参加くださいね。

 

31.三重奏曲/プーランク

トリとはこーいうものです。不安とプレッシャーの中よく準備してくれました。

オーボエはパワー不足、ファゴットは色彩感がもう少し、といったところでしょうか。ピアニストとのかけあいも、少ない合わせの中、面白いシーンがたくさんありました。

でもこの演奏に講評なんて要らないと思いますので、ここらへんで。2人とも、いつまでもみんなの憧れでいてください。

今更聞けない?ファゴットリードの決め方・買い方

こんにちは。我々の業界において「繁忙期」と呼ばれる時期が続いていて目がまわりそうです。演奏も体が資本ですので、風邪などひきませんように・・・。

 

さて、今日はリードについてちょっとお話したいと思います。

この仕事をしていると、アマチュアさんや学生さんによく聞かれます。

「どんなリードを選べばいいでしょうか?」

「おすすめの完成リードを教えてください」

たぶんこれ答えなんてなくて、あなたとあなたの楽器にとって吹きやすいものを探してください、としかお答えできないことが多いです。僕自身、リードに答えなんて出ていませんし、万人にうけるリードを作る気もあまりないです。そんなリードがあるなら話は別ですが・・・。

 

一応、僕自身の答えとしては「パッと吹いた感じの音色は二の次で、低音域(Fより下)の音程が基準値より下げたら下げられて、中音域(下から2番目のC〜Fくらい)が極端にぶら下がらず、高音域が苦しくなりすぎないもの」と言っておきましょう。僕自身がリードをこのコンセプトで作っています。

 

一番よくないのは、「先輩が勧めるからよくわからないけどこれを吹いているが上手く吹けない」「先生からリードを買っているが上手く吹けない」という状態です。練習や表現と一緒で、リードに関して思考停止しているのが一番よくありません。あなたにとっていいリードを探す(作る)、というのはファゴットという楽器を吹く以上避けられない課題なのです。

 

さて、じゃあどうするのがいいのでしょうか。あなたが億万長者なら、各種楽器店に売ってるリードを片っ端から買って吹いてみるといいでしょう、きっといいものに出会えます。

そうでないのなら、レッスンの先生から買うのがいいでしょう。その場合、吹きづらいならはっきりと調整をお願いすること。遠慮してはいけません。

「レッスンの先生なんていない」「先生はリードをくれない」「先生のリードは私には合わない」なんて方については、今の時代、僕のオススメは1つです。通販で買いましょう。

ただし楽器店の通販ではなく、製作者個人から買いましょう。ここで勝手にリード製作者の方を紹介するわけにはいきませんが、「ファゴット リード 通販」と検索すれば山ほど出てきます。ツイッターFacebookなどでもたくさん出てくる時代になりました。1〜2本買ってみて、合わなければ違うリードをまた探せばよいのです。製作者個人から買えば、きちんと吹ける状態で調整されてから送られてきますから(そのリード内においての)ハズレはありません。「試奏して買ったのに家に帰ってみたらイマイチだった」なんて経験が皆さんあるでしょうが、個人から直接買えばないでしょう。

僕自身もリードを作って販売しております。1本2000円と送料で即日お送りします。注文のフォームを貼り付けておきますのでいつでもご注文くださいませ。

ファゴット完成リード注文フォーム

 

最後に各リード調達方法のメリット・デメリットをまとめておきましょう。

 

・楽器店で試奏して購入

メリット 幅広いラインナップ、個体を自分で選べる

デメリット 1本あたりの単価が高い、いつもと違う環境(響き)で選ぶため意外とあたりが選べない、交通費と時間がかかる

 

・楽器店へ注文(通販)

メリット 幅広いラインナップ、時間がかからない、交通費がかからない、在庫さえあれば即日発送してもらえる

デメリット 個体を選べない、1本あたりの単価が高い

 

・レッスンの先生から購入

メリット 先生の指導方針に沿ったリードが手に入る、単価が安い(ことが多い)、目の前で好みに調整してもらえる

デメリット 特になし(頼みづらい、合わないけど断りづらい、など?)

 

・製作者へ注文(通販)

メリット 1本1本が手直しされてくるのでハズレがない、交通費がかからない、1本あたりの単価が比較的に安い(楽器店に比べて)

デメリット 好みのリードかどうかが届くまで判別しづらい、在庫次第で発送時期が読めない

 

あくまで個人的見解ですが・・・

昔(10年くらい?)と比べて、今はいいリードを作れる人が本当にたくさんいます。楽器店でも取り扱いしきれないくらい、たくさんの種類のリードが世に存在しています。そんな隠れた名リードがもっともっと世に広まっていけばいいな、と思ってこの記事を書くに至りました。

楽器を快適に吹けるリードが安定して供給される世の中になることを祈りつつ、今日も僕はリードを削ることにしましょう。

 

ちょこっと演奏会告知です。

 

とりおっぽぷらす クリスマスコンサート

2017年12月19日(火)18時半開場19時開演

スタジオヴィルティオージ(JR新大久保・大久保駅徒歩5分)

入場料2000円(限定50席)

 

吹奏楽のための第2組曲より「マーチ」/ホルスト

歌劇「フィガロの結婚」より序曲/モーツァルト

きらきら星変奏曲/モーツァルト

交響曲第1番より第4楽章/ブラームス

クリスマスメドレー        ほか

 

ファゴット五重奏を中心に、クリスマスらしい曲からクラシック音楽のアレンジ作品まで幅広く演奏いたします。日がせまっていますが、まだお席ありますので興味のある方はぜひぜひお越しくださいませ。

ご予約は

お問い合わせフォーム

からどうぞ。ご連絡おまちしております〜!

 

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第10回門下発表会でした。〜講評とかいろいろ〜

こんにちは。すっかり間があくようになり、このブログの存在を忘れられている方も多いかと思います・・・。笑

文章をかくのはあまり得意ではないため、なかなかきっかけがないと書くに至りませんね。もうちょっと頑張ります。ネタはたくさんあるんですが。

 

さて、11/5に門下発表会がありました。

年3回というすさまじいペースで行われているファゴットの発表会は日本中探してもここしかないよ、とよく言われます、そうかもしれませんね。もしあったら教えてください、主催者の方とお酒を飲みに行きたいです。笑

基本的にファゴットの方とアンサンブルで参加希望の方はどなたでも出演できる会ですので、興味がある方はこちら↓まで。

発表会参加・お問い合わせフォーム

実は最近の開催では、ほぼ毎回ブログを見て参加希望をしてくれる人がいます。

「興味はあるけど曲なんてやったことないし自分がソロなんてとんでもない」と思った方、たぶんそれが普通です。それでもだいたい2〜3回目の参加ではウェーバーのコンチェルトを普通に演奏してしまうくらいにはみんなレベルアップします。

毎回言ってますが「手っ取り早くうまくなるには人前でソロ曲演奏するのがいちばん手っ取り早いでしょ」というヌルいコンセプトのもと行われている会ですので、興味をもったらとにかくお問い合わせください。初心者でも吹ける曲からプロでも手が出ない曲までレパートリーはたくさんあるんですよ〜。

 

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さて、ここからは曲ごとの講評となります。個人名は書きませんがプログラム順ですし出演者やお客様には誰のことかわかるようになっています。なのでそれ以外の方にはあまり興味のない内容になってしまいますのでここでこの記事は終わりだと思ってください。内容が少なくて申し訳ありません。次の記事を気長にお待ちくださいませ・・・。

 

 

1.無伴奏チェロ組曲第3番より「ブレー1」/バッハ

ファゴット、というより音楽を初めて半年、僕のところにレッスンにくるようになって1ヶ月ちょっとの子の演奏でした。初心者はだいたい1番手を任せる(音出ししたあとすぐ吹ける)んですよね。本番とつぜん吹けなかった箇所というのは偶然ではなく、練度が低かった場所が傷として本番でパックリ開きます。これから先もそういった悔しさをたくさん感じると思いますが、それへの向き合い方は一緒に覚えていきましょう。

演奏自体は十分でした。これからに「も」期待の一言ですが、ステージでの振る舞いが一番気になりました。ステージに上がりチューニング、ピアニストに目配せして演奏開始、演奏終わったら拍手をくださる方へ誠意をもって礼をする、という美しい一連の流れがゼロでした。いえいえ、初心者だから当たり前ですが、今はそーいうところをから見直していくのが一番大事だと思います。人の演奏みてたから、もう分かるよね。

 

2.演奏会用独奏曲/ピエルネ

ピアニストが連れてきてくれた高校3年生の演奏でした。先生は僕の大学の先輩でありスーパースターであるとあるお方で、その教えがたくさん見えるとっても素敵なピエルネでした。

緊張しているとおもうのだけど、まったく感じさせない演奏と振る舞い、とっても立派でした。先生のようなかっこいいファゴット吹きになっていってほしいなと思います。ファゴットの曲に興味があったら次回以降もよかったら出演してほしいです。

 

3.ブルレスク/ボザ

数日前に言った「稀に見る安定感」が本番ではさらにレベルアップしていました。安定感のある演奏というのはある種彼女のテーマのようなもので、技術とセンスは抜群、でも本番でこけちゃう、という傾向があったので今回の演奏で得た自信は今後の糧となる事でしょう。自覚があるかは分かりませんが楽器の鳴らし方もとっても上手になっています。もう音が小さいなんて誰にも言われない(言われたらその人を発表会に呼んでください♡)でしょう。「遅いとこがへただね♡」と言いましたが、それは速いとこからの比較でそう聞こえるだけで、ちゃんとレベルアップしていますのでその方向性でいきましょう。衣装が黒でしたが、それも結構似合ってました。カラードレスだからいい、ってわけでもないのかもね。

悪い事はぜったい言いませんから1ヶ月1曲だけ、エチュードやってみませんか?何度でも言うよ俺は。笑

 

4.ファゴットソナタ/グリンカ

友人枠代表の演奏でした。いつもこの子が演奏した曲をみーーんなやりたがる、ってくらい、アマチュアながらハードルを上げにきてくれます。

たぶんいろんな人にいろんな事を言われたのでしょうが、僕はもっと君らしいこってりとしたグリンカを期待していたので、ちょっと驚きました。もっと攻める部分が聞きたかった気もします。でも貫禄たっぷりでした!次回の曲、お待ちしてます!

 

5.オーボエソナタより第1.2楽章/テレマン

友人枠とアンサンブル枠の間のような存在、いつも出演についていろいろ起きるよね・・・笑

通奏低音を吹かせてもらったので、演奏についてもちょっと口出しさせてもらったのだけど、とても魅力的になっていて驚きました!それだけ人から吸収する力を持っているのなら、もっとひとの演奏に興味を持ってひとの演奏に反応できるともっともっと素敵な演奏ができるようになると思います。

技術的には音の処理がもうひとつ、というところでしょうか。でも安定感のあるとてもいい演奏でした。なんか通奏低音やたら褒められたよ。笑

メンバー見つけるのも課していたはずなので、次回のエントリーを楽しみにしてますね。

 

6.ヴェニスの謝肉祭/ジュナン

ゲストひとりめ!本人にはもう言ってあるのですが、僕がゲストに求めてる演奏をすべてかなえてくれて、それをはるかに越える演奏でした。ほんと心から尊敬しています。お弟子さんつれてぜひまた来てください。僕も負けずに頑張ります。

 

7.ファゴット協奏曲より第1楽章/ウェーバー

ウェーバー7連発、ひとりめ。今回はO先生のレッスンなしでの参戦だったということで、曲についてたくさん情報を与える必要があって彼女の根本的なところにあまり触れてあげることができず、そこが自分としてはすこし悔しかった。次回は2〜3回きますか・・・?そこらへんは、O先生のレッスンとバランス取りましょう。苦手なはずなのにたくさんたくさん攻める演奏をみせてくれて、僕はとっても嬉しかった。ロマンチックにもっと磨きをかければファゴットも人間も魅力的になっていくことでしょう。今後も期待してます!

 

8.ファゴット協奏曲より第1楽章/ウェーバー

ウェーバー7連発ひとりめ、初心者ふたりめ。笑 自分としてはどうだったんでしょうか。レッスンで出来てたことが出来ない、というのは当たり前として、そんなことはどうでもよくて、出来てなかったことがたくさんできるようになっていたことが僕はとっても嬉しかった。フルートと二足のわらじを勧めた身としては、君がこんなに立派にウェーバーを吹ききったことは誇りに思います。自分でも、自信を持ってほしいです。紹介したオケからも評判がいいのはそういった音楽への誠実さが周りにいい影響を与えるからなんだと思います。発表会への参戦は今後どうなるかわからないと思うのだけど、たぶんずっとやってることだから、また来てね。フルートでもいいよ。笑

 

9.ファゴット協奏曲より第1.2楽章/ウェーバー

O門下生による友人枠での出演でした。門下入りしたてとのことですが、門下特有のきらきらした音楽がたくさん見えて懐かしい(?)気持ちになりました。

たぶん自身で課題をたくさんもって練習をしていると思うので僕から言うことはあまりないのだけど、言われる課題を乗り越えるのも大事ですが自分の好みを押し通すのも大事です。O門下生で活躍している先輩たちも先生に言われたことを越えて色んな技術や表現に挑戦していますので、君もそうあってほしいと僕は思います〜。

同門として誇らしい堂々とした演奏でした!

 

10.ファゴット協奏曲より第1楽章/ウェーバー

ウェーバー7連発、というのをもっとも恐れていたのは多分この人です。でも恐れて終わりではなく、慣れない仕事も大変だっただろうに本当によく練習してきたと思います。ウェーバー内ではMVPだ!と思って終演後に言うか悩んだのですが、ウェーバー組は等しくみんな頑張っていたので誰かひとりを持ち上げるのもな、と思ったので言いませんでした。毎回、ほんとよく伸びます。楽器の扱いにも慣れてきたと思うので、そのよく鳴る音を大切にしていってほしい。次回もとっても楽しみです。課題は「ロマンチック」かな。

 

11.ファゴット協奏曲より第1楽章/ウェーバー

ウェーバー7連発を、たぶんもっとも楽しんでいたのはこの人でしょう。笑 高いハードルをくぐったり乗り越えたりがどうやら得意なようなので、今後ともハードルはきっちり設置させていただきますね。笑 

まー本番いろいろあったのはさておき、ウェーバーで必要な技術や表現はじゅうぶん身についたと思います。そーいう意味ではウェーバー組の中でもっとも伸びたと言えます。とはいえ、そーいう技術は元々結構あったので、問題はそこではないかも。

前回やれていた「1音1音のクオリティ」をちょっと忘れつつあります。そりゃまぁ、できるようになったことなんてすぐ忘れてしまうのが人間なので、それでいいのですが、また思い出していきましょう。楽器のコントロールももっと必要ですね。楽器屋さんでリードを片っ端から試奏してみることです。時間制限や本数制限なんてあってないようなものです(たぶん)

報告おつかれさま。笑

 

12.ファゴット協奏曲より第1楽章/ウェーバー

プログラムの通しナンバー、2人連続12.になってましたね・・・。笑

今回いちばん予測不能で、選曲は無茶だし伸び代はレッスン毎にばらつきが多くて。10人に1人くらいいる、「楽器で音を読む」病が深刻だったのだけど、本番までにかなり克服できたんじゃないかなと思います。

講評としては「よく健闘した 」といったところ。熱意と誠実さが形になったからこその演奏でした。練習してできるようになる、ということがどーいうことなのか、分かってきたことが何よりの収穫です。

とはいえ、名曲の魅力を聴いてる人に伝えるには足りないところが多かったのもまた事実。背伸びは一旦置いといて、もっと地を這うような練習を続けていつかこの曲のリベンジをしましょう!

 

12.ファゴット協奏曲/ウェーバー

ゲストとして、7連発の最後をつとめるのは結構な重責があったと思います。もちろん君に言うような指摘を俺が持ち合わせるわけもないのだけど、もうちょっとこの曲についての深い理解があってもいいんじゃないかな、という印象はありました。といっても君はまだまだ若いので、たぶん次にどこかで聴くウェーバーは遥か高みにいることかと思いますので、僕も負けないように頑張ります。

次回おやすみとのことですが、次次回以降もまた来てね。だんだん忙しくなってきて毎回というわけにはいかなくなるだろうけれど、この会はずっとある(ようにがんばる)ので出れるときに、またきてほしい。いつまでもみんなの憧れでいてほしいな。

 

13.エアボーン/ショッカー

友人枠フルート、もはや不動のポジションとなりつつある。

参加者から「木五やりたい」という声がよく上がるのだけど、フルートどうしよう、と言われて「この子は?」というと「おそれおおいです」とよく言われます。

いやでも確かに、フルートを吹いてるときの貫禄はプロ顔負けです。相方ありきなのかもしれないけど、本当に君のフルートは素晴らしい。楽器をこえて見習うべきものをいつもたくさん勉強させてもらっています。

また面白いもの聴かせにきてください!木五も、よかったらぜひに!

 

14.無伴奏チェロ組曲第1番よりメヌエット、ジーグ/バッハ

楽章替えを指示したときからは別人のようでした。君のファゴットへの誠実さは見習うところが多く、他の子のレッスン時に一番名前が出る存在です。自分で課題はわかっていると思うのでここで多くは語りませんが、この壮大な曲をしっかり演奏しきったことをぜひ誇りに思ってほしい。誰でも挑戦できる領域ではなかったと思います。

鼻抜けについてはこの曲やるにあたってしょうがないと思う(僕もはじめての鼻抜けはこれだった)のでとりあえずあまり気にせず。今後起きるようならまた考えましょう。

ちなみに開演前までは君がMVPかな、と思ってました。思いの外いい演奏する子が多すぎた。

 

15.ファゴット協奏曲より第1楽章/ダンツィ

準MVP。こんな地味な曲でそんないい演奏ができる子、他にいないんじゃないのかな。

安定感や本番強さはもちろん、古典派を「聴かせる」ワザを身につけられたんじゃないかなと思います。常々僕が「審査がある」と言ってるモーツァルト、君ならやりたいときにいつでもやってくれてだいじょうぶです。門下内にファンの多い君ですが、今後とも面白いものみせてほしいです。本業で忙しい中、本当によく頑張りました!

 

16.プルミエソロ/ブルドー

いやーほんと、本番で突然発揮される表現力、脱帽でした。その気まぐれぐあい、まったく誰に似たんだか。笑

練習時間の使い方、本番で使える表現力と技術、楽器の鳴らし方、どれをとってもやはり門下トップクラス、という地位をこれだけ急激にレベルアップしている子達の中で保てるのはすごいと思う。準MVPでした。ちょっと相手が悪かった。笑

とはいえ、「指は回るから」はそろそろ言えなくなってきてる気がします。音を並べるということ、今一度みなおしてみてほしい。たぶん練習ペースは今のままでいいから、曲決めと準備の始めをもっと早くすれば解決することかな、と思います。

いやそれにしても、いい演奏だった。次回ブルドー祭りあるのでは。

 

17.ディベルティメントNo.1/モーツァルト

トリオダンシュでの参戦でした。日常から仲のいい3人であるのが演奏にもちゃんとあらわれていて、アンサンブルの憧れをかきたてる演奏だったと思います。レッスン時に言いまくったフレーズの最後の処理もすごく良くなっていました。たくさん合わせをしただけあって安心して聞けました。

さて一方で、トリオダンシュって合って聴こえて当たり前なんですよね。「まぁズレてはいない」くらいで満足してしまうと、魅力半減です。違う楽器なのに同属楽器である三重奏のアンサンブルのハードルはもっと高いです。もっといい音がします。アンサンブルは個人技です。もっともっと他人の演奏に興味を持っていきましょう。次回のエントリーもお待ちしてます!

 

18.ロマンス/エルガー

2曲抱えてこのクオリティ、さすがでした。ピアニストへの反応の仕方がピカイチです。ファゴット吹き、なぜかみんな他人に影響されて洗練されていきます。そーいう意味で今回、ピアニストと2曲やれたことはとってもよかったのかもしれないね。表現の難しい曲のはずなのに、ちゃんと伝わりました。これは誰にでもできることではないので、自信をもってほしいです。

一方で問題は技術面ですね。楽器の鳴らし方、そろそろ壁を越えていい頃だと思います。オーバーブローをなくすこと、ビブラートを取ったらどんな音がするか試すこと、リードや楽器を見直してみること、いろいろ入り口はあると思うのでぜひ試してみてください。

 

19.ロマンス/ブルッフ

いやー、もう、直接言ったんだけどさ、好きでした。俺にはできない、でも俺の大好きなブルッフのロマンスだった。次回ブルッフやりたい、っていう声が結構あがっていて、「そうだろうそうだろう、俺の大好きなファゴット奏者はすごいだろう」となぜか俺が威張ってます。へへん。大阪と東京、もっと近くならないかなぁ、いろんな意味で。東西の壁を僕たちでぶっ壊していきましょう。

 

20.ファゴットとオブリガードチェンバロのための二重奏曲より第1.3楽章/シャフラート

最年長の演奏、大変にご立派でした!僕のようなワカモノには想像もつきませんが、そのお歳でそこまでレベルアップできること、本当に尊敬します。僕のふたりめの師(あの高名なK先生のことですが)は今でもレベルアップしようとしていますが、それに近いものを感じました。ちょっとおふたりを引き合わせてみたくもあります。笑

またぜひ、素敵な師匠のもと腕を磨いて挑戦しにきてほしいです!今後ともよろしくお願いいたします。

 

21.オーボエ協奏曲ニ短調/アルビノーニ

MVPだ!と思いながら聴いてました。友人枠にMVPは設けませんが、曲への理解、そのための技術、安定感、ピアニストへの共鳴の仕方など、あらゆる部分でハイクオリティでした。ファゴットの生徒たちに見習わせたい部分がとってもたくさんありました。

失礼ながら前回のアンサンブルのときはそうでもなかったので、レベルアップしたのか、思い入れがあったのか、そもそもソロ向きなのかは分かりませんが、今後ともエントリーしていってほしいです。今回のような向き合い方をアンサンブルでもしてみてくれたら、たぶんその団体は素晴らしい演奏になることでしょう。

 

22.無伴奏チェロ組曲第3番より「ブレー1」/バッハ

直前の曲変えにビビらない度胸は門下トップです、間違いなく。いやそりゃぁビビってたんだとは思うのだけど、堂々としていて素敵でした。やれることをやれる範囲でやる、というのは同い年の大人として見習わないとな、と思うところです。

ただ、この会は基本的にソロを演奏する場なので、間に合わなかったから曲変えます、となってもほとんど誰にも迷惑をかけないです。でも、そんなことなんども繰り返すわけにはいかないから、今後は頑張りましょう。楽器は結構うまいです。必要な技術や鳴らし方も心得ているしセンスもあります。ただひたすら、譜面を読むのと練習が下手すぎるだけ。覚えましょう。誠実さや想いは音にして初めて伝わります。伝えてなんぼでしょう。

前お話したことだけど、とくに君の普段いる世界ではファゴットの世界代表になりがちです。誇りを持ってほしいし、魅力的なこの楽器をもっともっと広めていきましょう。さぁエチュードをさらうんだ。ゆっくりね。

 

23.アンダンテとロンド/ミルデ

ファゴット芸人卒業おめでとう!再入学しないように。

ウェーバーの頃にも感じてたし打ち上げで話したけど、君の音楽表現能力は本当にすごい。表現も技術のひとつだと思います。ただただ、それを伝えるための他の技術が乏しいのが悔しい!俺は聴いててなんだか悔しかったです、この才能がなんでこんなに残念に聴こえてしまうんだろう、と。笑

身につけましょう。音楽そのものの経験値が浅いことはもうハンデにはならないから、ファゴットの吹き方をもっと覚えましょう。エチュード月1曲(以上)、挑戦してみませんか?

 

24.ファゴットソナタ/ケックラン

こだわりと想いが強くなりがちなこの曲。そこに寄らずきちんと向き合ってきたことが伝わってくる、友人枠にもっとも求めたい要素がつまった演奏でした。打ち上げで「ケックラン、リベンジしていい?」と言ってくれました。本当はあなたにはもっといろんな曲吹いて聴かせてほしいんですけれど、60近い(そろそろ怒られそう笑)人にそんなまっすぐな想いを見せられたらだめですなんて(何度もは)言えませんでした。笑 ピアニストへの負荷の多い曲ですが、リベンジ楽しみにしていますね!

 

25.ファゴットソナタ/サンサーンス

この会でお願いしているゲストたちは、いつも僕の期待を遥かに越えてこたえてくれます。生徒たちに憧れのファゴット奏者をたくさん作ってほしい。本物の演奏を身近で聴かせてほしい。あたらしいレパートリーをじっくり聴いてみてほしい。など、いろんな気持ちをもってお願いしているのですが・・・

僕の持っているうちの発表会のゲストという概念を覆すくらい、ぶったまげるほど素晴らしいサンサーンスでした。生徒にこの曲は基本的にあまりやらせない(きつい審査をもうけています笑)のですが、その審査はますます厳しくなりました。笑

とても忙しい中、ほんとうにありがとう!いろいろと不備のある会ではありますが、ご都合ついたらまたぜひ吹きにきてください。

 

26.ファゴット協奏曲RV497より第1.2楽章/ヴィヴァルディ

自分の演奏です。笑

他のSNS媒体と重なってしまいますが、今回、はじめてプログム内で自分も演奏しました。

僕はファゴット奏者です。オーケストラや吹奏楽の演奏、室内楽での演奏派遣、リードの販売、ファゴットや合奏の指導などを中心に活動していますが、どうにも「教える仕事」に偏ったイメージを持たれている(ような気がする)ところがあります。楽器を教えるのをメインにするのがどうなのか、という話ではなく、僕自身の信条として「現役のプレイヤーであるからこそ教えてあげられる、みせてあげられるものがある」というものがあります。そーいう意味で、決意の演奏でした。

とても苦手とする運営や事務作業を一人でこなさなければならない発表会、準備やコンディションが最低ラインな中ではじゅうぶんな演奏はむずかしい、と考え避けてきたんですよね。まぁ結果として演奏がどうだったかは、まぁその、おいといて。今後とも挑戦していきたいと思っています。

 

27.悲愴三重奏曲/グリンカ

まずはレッスンに行ってあげられなくてごめんなさい!立場や環境を越えたメンバーでのアンサンブル、どうにもいびつになりがちなのですが、そういった問題を感じさせない演奏でした。多機能な近代兵器のような楽器であるクラリネットファゴットが一緒に演奏するのはとても難しいことだと思います。

けっこうな長さのあるこの曲が、まったく長く聴こえませんでした。今後ともふたりのレパートリーを増やしにきてくれると嬉しいです。

 

28.ファゴットソナタ/ヒンデミット

いつも言うMVPとは、レッスン、ピアノ合わせ、本番への伸び代からはかるもので、結果としてうまい演奏をした人にあたえるものではないのですが、単純に参加者の中でもっともいい演奏だったのがこの人だと思います。

技術やセンスはもちろん、吸収力や対応力、ピアノへの共鳴の仕方、曲への向き合い方やさらい方のレベルの高さが満載の名演でした。もう誰が一番うまいのかわからなくなってきた。それでこそ発表会だよね。

ただ「ありがちないびつさ」が少し気になりました。具体的には指の動きと息が連動してしまうこと、フォルテが鳴りきらないことがあること、(おそらく)運指ミスによる音程のズレ、フレーズ語尾の処理がイマイチなど、バランスがいい反面悪いことろも「ありがち」な部分が多かった。それがオーソドックスなんだとは思うけど、そこらへん1つ1つ潰していくともっとファンが生まれるんじゃないだろうか。次回も楽しみにしています!

 

29.サロン用小品/カリヴォダ

友人枠、たぶんこの人のために作った枠なんだと思います。これが最後の出演になってしまう恐れもあるのだけど、たぶんそうはならないかな。こんな楽しいこと、やめられないよね?そうだよね?

「簡単そうに吹く」と、たぶんみんなに言われて「そんなわけないじゃん!」と答えてきたんだと思います。簡単そうに吹く、というのは、よく言えば堅実な練習による安定感からくるものです。わるく言えば難しいところはクリアしているものの、クリアしているだけで魅力的でない、という意味なんだと僕は思います。いい演奏って、難しいことをクリアしていれば生まれるものではなくて、欲だったり想いだったり知識だったり経験だったり、そういったところから生まれてくるんだと思います。

たぶん君はレッスン1回で曲吹いたらダメです。吹けてないままでいいから何回もレッスンにいって、もっと悩んで演奏して欲しい。そうしたらきっと、「簡単そうに吹く」ではなく「抜群の演奏でした」と言ってもらえるんじゃないかな。

オーボエ、辞めないでください。それが楽器の世界に引き戻した人間(たち)のたった一つのお願いです。

 

30.ファゴットソナタヘ短調/テレマン

MVPでした。もう俺が言うまでもなく、圧倒的な名演でした。

前日の合わせでできなかったこと、本番突然やるのはもう門下の遺伝子なんでしょうけれど、それによって生まれた歪みやミスが気づいてる部分以上にたっっっっっくさんありました。崩壊してもおかしくなかった。君の名演は、ピアニストがそれを慈愛の心で掬い上げてくれた生まれたものです。一種の奇跡なので、慢心せずこれからも頑張っていってほしい。

会にもソロ曲にも良くも悪くも場慣れしてひょうひょうと演奏をこなす子が増えてきた中、君みたいに一途な子がいるのは僕としてもとっても面白い。人の演奏もよく聴いていて学ぶこともきっとたくさんあったでしょう。そのふるえた心を忘れずに。あと彼女作りましょう。

 

 

ふー。1万文字弱の長文、読み返したら変な日本語たくさんあるのだろうけど、僕は物書きではない上に学がないので、どうかご容赦ください。

ファゴットのレッスンに行ってみよう!〜個人レッスンって具体的にどんなかんじ?〜

こんにちは。

暑さに弱いため、基本的に夏季はコンディションが悪いとのむぅです。水分摂取を怠るとすぐに力尽きてしまいます。

 

さて、今日の記事では、僕のレッスンの進め方や具体的な条件などを載せていきたいと思います。

いわゆる「音楽教室」ではないため、具体的なことが分からないと問い合わせもしづらいかな、と思いまして。

 

大きく分けて以下のパターンがあるかと思います。

 

1.定期的に通い、レベルに合わせたエチュードを課題とし必要に応じてオケ・ブラスパート譜やソロ曲のレッスンも交えていく(推奨)

2.不定期で通い、その時困っているオケ・ブラスのパート譜やソロ曲のレッスンや、ブランク明けの基礎訓練などを受けにくる

3.普段は楽器を触らず、レッスン時のみ楽器の練習をする

 

1.は一番多数派で、最もよく伸びるパターンかと思います。月1〜3回などペースは様々ですが、エチュードで確実に技術を身につけつつ、曲で実践訓練をするようなイメージです。どちらもバランスよく取り組んでいくことで、半年〜1年くらいで別人のような奏者に変わっていきます。

エチュードはワイセンボーンの1巻か2巻をやる子が多いです。誤解されやすいのですが、基本的にエチュードは「練習してレッスンに持っていく」ために作られているもので、「練習すれば自動的にうまくなる曲」ではないんですよね(^^;

上達するためには、エチュードをレッスンに持っていく!これが一番の近道です。

 

レッスン日・場所はお互いの都合で決めます。僕の自宅(東京と神奈川の境目くらい)でやることが多いですが、スケジュールや生徒さんの都合で出張レッスンも承っています。音楽教室では日や場所はかなり限定されてきますから、そこが個人レッスン最大のメリットではないでしょうか。

 

さて気になるレッスン代ですが、社会人の方からは1回5000円頂いています。学生さんは少し割引して4000円頂いています。

また、僕は仕事でリードも作っております。僕のものが合うようでしたらレッスン時に限り1本1000円でリードをお譲りしています。

これは、普段オケや吹奏楽の練習に追われて何かと忙しい生活な上、学生さんならアルバイトもするでしょう、社会人の方も色々と入り用な中「お金を払って楽器を習いに来る」のはなかなか腰が重い行為かと思いますので、「リードを手に入れるついでに演奏上の問題点を知りにくる」くらいのつもりで来てくれれば嬉しいな、という考えから実施しているものです。

某楽器店でリードを購入しに行くとして、1本2500円くらいでしょうか、例えば3本買って7〜8000円くらい、皆さん平気で払っていると思います。その3本のリード、翌週には1本しか使えない、という経験もされるでしょう。

僕のところへレッスンにくれば、レッスン代+リード2本で7000円で済みます。しかもその場でご要望に調整しますし、次のレッスン時におかしくなってしまったリードも調整してあげることができますので、リードへの苦労も軽減されるのではないでしょうか。

 

「ここが難しくて吹けないんです」と持ってきてくれたワンフレーズ、8割くらいはレッスン10分くらいで解決(もしくは解決のきざしが見えてくる)します。それがレッスンの魔法ですから、その快感を味わいに、ぜひ来てくださいね。

↓まで、お気楽にお問い合わせくださいませ。 

レッスンお問い合わせフォーム

 

第9回門下発表会でした。〜講評とか次回のこととか〜

とっっっっても久しぶりの更新になってしまい申し訳ありません。

主に仕事量と作業効率のバランスの悪さと体調不良が原因です。こんなノリと雰囲気だけのブログですが、「読んでるよ」とたくさんお声をかけて頂いているのでちゃんと書いていかないとだめですね・・・。

 

さて、第9回の門下発表会が終わりました。

前回からたったの3ヶ月しか経っていません。なんでこんなハイペースでやっているんでしょうか。笑 でも出演者がいる限りやり続けていくつもりです。今後ともよしなに。

次回発表会は2017年11月5日(日)の予定です。会場未定ですが関東近郊です。

ファゴットのソロでの参加、もしくはアンサンブルでの参加を募集しています。

参加費はファゴットソロは12000円(学生8000円)、アンサンブルは1人6000円(人数によって前後します)です。

会場代、伴奏者謝礼、レッスン代1回分を含んでいます。

 

Q.「わたしがソロなんてとんでもないです」

A.みんなそう言いますがちゃんと立派に吹いています。終わる頃には「次はこの曲がやりたいです!」と目をキラキラさせていたりします。

Q.「どんな曲をやったらいいか分かりません」

A.「選曲から相談に乗ります。初心者でも吹けそうな曲からとんでもない超絶技巧な曲までありますので、レベルや経験などに合わせて選曲しましょう。」

Q.「伴奏者に迷惑をかけそうで・・・」

A.「仮に、本番でどんなハチャメチャに間違えてもどうにかしてくれるピアニストが伴奏してくださいますので、そこに関しては全く心配は要りません。ほんとに。」

 

もともと「ソロ曲に挑戦したら手っ取り早く上手くなるのでは」というコンセプトのもと、2〜3人で始まった発表会です。ステップアップとして、ぜひご利用ください。

発表会の参加希望、お問い合わせはこちらまで

発表会参加・お問い合わせフォーム

 

さて、ここからは前回同様、プログラム順で講評や感想をたらたらと書いていく記事になります。ご興味のない方は申し訳ありません。

 

 

1.ファゴット協奏曲1楽章/ウェーバー

この発表会のあと、少し楽器をおやすみするので、と言っていたので、少し背伸びかな、という選曲をお勧めしました。

テクニックはじゅうぶん追いついていました。ウェーバーの奥深い音楽性もしっかり表現できていたとおもいます。

緊張していたようですが、それでもテクニック・音楽性ともに発揮できていたのは、レッスンでお伝えした確実な練習方法を実践してくれたからだとおもいます。緊張は、いつだってします。場慣れしていけば緊張しつつも力を発揮できるようになっていきますよ。はじめてのオケだって、そうだったでしょ?

これから変わっていく環境の中で、今回の体験が一つの自信になっていけば嬉しいです。そしてまた戻ってきて、素敵な演奏ができますように。

 

2.6つのファゴットソナタより第2番1.2楽章/ガリアルド

自分で持ってきた曲とはいえ、厄介な曲でした。テクニカルな譜面を演奏するのはある種とても楽だ、ということを痛感できたと思います。

でも前回を「まぐれ」と感じさせない素晴らしい演奏でした。音楽を表現する、ということを学んだ君はもうとっくにファゴット演奏の虜なのでしょう、今回の演奏者の中で、一番楽しそうに吹いてるように見えました。前回MVPの風格じゅうぶんでした。

社会人という生活の中で練習をしていく、ということの難しさを乗り越えていって欲しいなと思います。この発表会でもっとも成長した人として、門下後輩たちに後ろ姿を見せつづけていってほしいとおもいます。宿直おつかれさま。笑

 

3.カプリッチョ/ポンキエッリ(オーボエ、友人枠)

今回のMVPのひとり。「友人枠」ってなんなんですか、とよく聞かれますが、面白いもん聞かせてくれそうな人に楽器は関係ないから来てくれ、という枠です。

曲に対してもオーボエに対しても、伴奏との絡みに対してまで、誠心誠意、という言葉がぴったりの演奏でした。君についてはほんとうに、ここがなければまた楽器が押入れで眠る生活になってしまうから欠かさず毎回お呼びしますが、ここで身につけた技術や音楽性をよそで合奏やアンサンブルで発揮して欲しいなと僕は常に思っています。

きっと緊張しつつ難しいことをたくさんしていたのでしょうが、はたから見てるととてもリラックスしつつ簡単そうに演奏して見えました。そう見えることそのものはまぎれもない才能なんだとおもいます。素晴らしかった!

 

4.ファゴット協奏曲RV497イ短調/ヴィヴァルディ

ゲストとの曲かぶり(後述)、改めて本当にごめんね。笑

とはいえ彼ははそれにめげず、むしろ楽しめる、くらいの柔軟性を持っているようで、魅力たっぷりのヴィヴァルディでした。ゲストが抜群に素晴らしかったことを前提に、彼の演奏のほうがいい部分もたくさんありました。アマチュアとして本当にそれは素晴らしいことで、プロのはしくれとして僕も考えさせられる部分がとても多かったです。

少し一辺倒だった発音・タンギングについても色が出てきて、さて僕はこれから彼に何を教えていこうかな、と不安のような楽しみなような気持ちです。何よりも、仕事が本格的に忙しくなってきた今年度にここまで完成度が上げられたことは誇りに思って欲しいです。門下長男、さすがでした。「さすが」っていい褒め言葉だよね。

楽器もとっても調子良さそうでよかった!

 

5.ファゴットソナタト短調より第1楽章/ドゥビエンヌ

今回のMVP。初めてのソロでこの選曲を勧めたこと、曲の最初のレッスンで「ちょっときつかったか」と思ったくらいでしたが、みるみるうちに成長していき、本番も抜群によかったです。

楽器と自身のクセの克服、、音色や音程のツボの捉え方、それに伴う息の使い方を覚えながら、微妙に捉えにくいこの曲のフレーズをしっかりとつかまえて、オリジナリティもくわえつつ、地味に難しいトリルもしれっと乗り越えて、ある種、現状これ以上伸びようがないところまで完成度を上げてきてくれました。

こうまでまっすぐ成長してくる生徒を教えていると、こちら側が「うまくなるってこーいうことだ」と学ぶことがたくさんありました。

とはいえまだまだ伸び代タップリです。曲の前からやっていたエチュードのレッスンで得たことも含めて、今後も力をつけていってくれたら嬉しいです。

 

6.クラリネットソナタより第1楽章/サンサーンスクラリネット、友人枠)

アンサンブルでの参加が続いてきた子、今回はソロでの参戦でした。

アンサンブルのレッスンをしていて「そこちゃんと音鳴らして」と言わざるを得ないことが多かったので、ソロでどうなるのか、と心配していたのですが・・・

大変によかったです。意志と誠意がたっぷりの演奏でした。連れてきてくれたピアニストとの息もぴったり(?)でした。

このクオリティを常に発揮しましょう!それが一番むずかしい。次回はアンサンブルかな。楽しみにしています。

 

7.2つのオーボエ通奏低音のためのソナタ/ヴィヴァルディ

ヴァイオリンとオーボエでの参戦でした。バランスをとること以上に、ニュアンスを揃えるのは音大生やプロでもちょっと苦戦する部分かとおもいます。

よく考えられた演奏をしていましたが、ニュアンスを揃えるためには、個々のニュアンスが明確になっていないと揃いません。それはボウイングのアップダウンがどう、スラーがこう、という話ではなく、音楽の向かう方向性を個人個人が明確にしていないと形にはなりません。そこらへんをもっと覚えていければあらゆるシチュエーションでの演奏がもっと楽しくなるんじゃないかな、と思います。

一緒にやってくれてありがとう。まだまだ若い2人が、ここでの経験でどのくらい成長してくれるか楽しみです。次回はどんなアンサンブルかなっ?

 

8.レチタティーヴォとアレグロ/ギャロン

出だしはともかく(笑)あーそーいうの、そーいう演奏ができるようになってくれれば先生は何も心配せず聴いていられるよ、という演奏ができたな、とおもいます。

ナンノコッチャと思うかもしれませんが、すべての音がきちんと音楽に乗って動いていた、ということです。君はほんとうに練習の天才だとおもいますが、その練習が音楽に乗らずにほうぼうへ散っていくことがとっても問題だったのです。今回できたことを定着していけば、今後のファゴット生活は別次元の楽しさに繋がっていくことかとおもいます。

テクニックはもはやなんの問題もないので、今後の課題はこのクオリティ以上の「安定感」なんじゃないかなとおもいます。次回も楽しみにしています。

 

9.ファゴット三重奏曲より/ワイセンボーン

いやー、長かったね、3曲やると。笑

この曲は僕とゲストのお二人で演奏しました。「本番いっぱい仕掛けるよ」と宣言して、本当にたくさん仕掛けてごめんね。笑

2人ともまだお若いので、そーいう気まぐれな音楽性がもっと身につくと仕事に役立つこともあると思います。でも楽しかった。今後ともよろしくお願いします。

 

10.演奏会用独奏曲/ピエルネ

実は MVPで悩みました。音楽的な「押し」が多く「引き」がない、という話を前回(かな?)レッスンでしたと思うのですが、今回のピエルネはそれが克服され、どこが山なのかはっきりと見える演奏でした。

もともと聴き映えするこの曲で、どこまで聴いている人の心にファゴットの魅力を伝えられるか、というところなのですが、「我慢」「色彩」「ためらい」「発散」「熱情」が伝わってきました。次は繊細な曲でそれができたらとっても素敵ですね・・・・!

リード用リーマー、少しお高いですが用意したほうがいいかも。もしくはきちんとハマるリードを選ぶこと。買った時ちょっとキツいようなリードは使い古すともっとキツくなります。ご注意。

 

11.ファゴット小協奏曲/ダビッド

この子もMVPで悩みました。ファゴットの魅力を抽出したようなこの曲を、レッスンのとき安定して淡々と演奏していたので、ある意味その安定を「こわす」ような指導をしました。結果として本番で安定しなくても、なにかこの子の成長のヒントになるようなことがあれば、と思ったのですが、伴奏合わせ、本番と見るたびに見事な成長を遂げ、しかも安定感は損なわれなかったのです。

「はじめてドレスを着ます」と言ってくれたのもすごく嬉しくて、しかもドレス効果(本人の言葉を借ります)で、これまでになかった音楽を発揮してくれました。

これまでの選曲はある意味「わかりやすい」曲だったと思うので、いやゆるフランスもの、もしくはバロックものなど、様式や色彩感覚が必要になってくる曲に挑戦すると、また更にレベルアップできるんじゃないかなと思います。今後も楽しみにしています。

 

12.ファゴットソナタ/グリンカファゴット、友人枠)

アラ60ではないらしい(プログラムの主催者コメントに記載したら鋭いツッコミを受けましたのでここに訂正します 笑)

うちの発表会でグリンカやってくださいよ、っていつか言ったのですが、本当にやってくれてとっても嬉しかったです。「エロくですよ!エロく!」と前振りしておいたのですが、素晴らしくエロいグリンカでした。押すでも引くでもなく、でも淡々ともせず、という境地、僕もたくさん学ばせてもらいました。

また次回も、若輩者たちに面白い演奏聴かせてくださいね!

 

13.後悔と決意/ショッカー(フルート、友人枠)

この子のために友人枠は存在する、と言っても過言ではないです。

ピアニストとの息の合い方が抜群で、2人とも奔放なのだけどかっちり噛み合う、これぞ「相棒」という演奏でした。

曲から景色が見えてくるような音楽性、もはや技術や経験ではない何かこう、人間から滲み出てくる表現力のようなものなのでしょうか。彼女のフルートの何が素晴らしいのか、僕の貧弱な語彙では表現できませんね・・・

今後ともぜひ!個人的にはドゥビエンヌとかモーツァルトとか、古典よりの演奏をするとどうなるのか聴いてみたいな〜

 

14.ファゴット協奏曲RV497イ短調/ヴィヴァルディ(ファゴット、ゲスト)

あぁ、もうこの子は大人なのだな、と、吹き始め2〜3小節で感じました。

うまい子供から、プロの大人になっていく様を見て感慨深いな、と人に話すと「完全におじさん目線ですねそれ」と言われました。はいおじさんです。

君の参戦があるから、僕の生徒たちはいくらうまく演奏できても「あーまだ先は長い」と思えるのだと思います。君もこれから忙しくなっていくだろうから、どうなっていくかは分かりませんが、またここで皆を刺激し喜ばせて行ってほしいなと思います。ありがとう!

 

15.アリュシナシオン/ベルノーファゴット、ゲスト)

門下の後輩をゲストとしてお招きしてみました。

いわゆる「がちゃがちゃした現代曲」なこの曲、迫力満点でした。

やってみたい!とはならなくても、プロの威厳たっぷりの名演でした。

おとなしくて綺麗なだけの演奏をしていたこの子が、こんな演奏ができるようになったこと、先輩としてとても嬉しく思います。同時に、負けてられないな、とも思いました。

 

16.ファゴット協奏曲1楽章/ウェーバー

伸び代と成長度で、若手ながら第4部に配置しました。

間違いなく彼は、クラシック音楽の表現方法を学べたんじゃないかなと思います。それだけの成長はありました。

音色、音程、テクニックは申し分なし、音楽表現もじゅうぶんできていながら、自分の演奏が他人の演奏とまったく無関係になってしまう欠点があるようです。

本番に強い・弱いということとは関係なく、自分の音には常に他人の音が関係してくるということを認識した上で、確実な個人練習をこなしていけば大きく化ける逸材なのだとおもいます。

まだまだ(ちゃんと)読んだ譜面の量が足りないね。今後に期待しましょう。

 

17.ファゴット協奏曲RV484より2.3楽章/ヴィヴァルディ

速い楽章から逃げてきた、と本人コメントがありましたが、決して速い楽章が苦手には思えません。大変にいやな運指の多い3楽章をあそこまで吹ければ、他の曲なら難なく演奏できるんじゃないかなぁと思います。

そんなことよりも、ここには書ききれないほど、技術的、音楽的に惜しい部分がたくさんありました。1度のレッスンで伝えきれないことも大変多く、伸び代が無限にあるのに勿体ないなぁ、という印象でした。

とはいえ、特にバロック音楽に精通した彼女の演奏は抜群に素晴らしく、ソロ初挑戦とは思えないほど立派な演奏でした。オケに忙しい方にとって発表会はなかなか都合がつきづらいところですが、また参加していただきたいと思います。

 

18.ファゴット協奏曲1楽章/シュターミッツ

初挑戦、しかもシュターミッツという選曲なのにトリに抜擢しました。

毎回2〜3人は選曲されるこの曲なのですが、今回はこの子だけ。抵抗強めの楽器なためか、明るく豊かな響きの音を出すのがイマイチ得意でなかった彼女が、この曲を通じてパワフルな演奏ができるようになりました。

古典派とはいえ、朗々と歌い上げるような旋律だらけのこの曲は、いわゆる「音作り」の段階の子には挑むにはちょうどよく、彼女は素晴らしい音作りにくわえて大変素晴らしい音楽表現を身につけてくれました。

ちょっと苦手かな、と見えたカデンツァも堂々と演奏していて、ピアニストにも大絶賛されていました。トリにふさわしい演奏だったと思います。無茶振りしてごめんね。でもとっても良い演奏だったよ。

 

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以上、長々とえらそうに講評を書き綴ってみました。今後の参考にしてみてね。

2017年4月〜7月の出演情報。会いにきてね!

こんにちは。少し日が空いてしまいましたね。すっかり暖かくなりました。音程、上がってませんか?笑

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もうすぐGWですね。今年度、なんだか本番がとても増えてきましたので、一部の出演情報をお知らせしたく記事を書いています。

ファゴットの吹き方」に言及する、たいへんおこがましいこのブログを書いているのが一体どんな演奏するのか、ぜひぜひ遊びに来てくださいね。チケットやご来場の予約は 問い合わせフォーム までどうぞ。

 

クラレボvol.3 Clarinet/Bassoon

2017年4月29日(土)19:00〜、21:00〜

西村薫(クラリネット)/殿村和也(ファゴット

ベートーヴェン二重奏曲no.2、ゲバウアー二重奏曲no.2、プーランクソナタ

入場料1000円+1ドリンクオーダー

会場:バー六角堂(各線飯田橋駅より、神楽坂)

 

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クラリネットファゴットの二重奏のステージです。19時からと21時の回がありますが、なんと、既に満席いただいております。もしご来場希望の方がいましたら、キャンセル待ちとなってしまいますが、ぜひご連絡くださいね。

 

 

LFJ ホールEキオスクコンサート

2017年5月5日(金・祝)19:20〜

Wish Wind Orchestra、甲斐誠(指揮)
スパーク:ダンス・ムーヴメンツ

 

ラフォルジュルネ、初参戦です!吹奏楽コントラファゴットを演奏します。

Wishは昔からの付き合いがある連中がたくさん乗っているプロの楽団で、出演はすごく久しぶりで大変に楽しみにしております。

ラフォルジュルネについては 

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017「ラ・ダンス 舞曲の祭典」公式サイト

こちらまで。

 

クラレボvol.4 Wind Quintet!

2017年5月19日(金)20時〜

岡本元輝(フルート)、中村紫苑(オーボエ)、西村薫(クラリネット)、殿村和也(ファゴット)、古越恵美(ホルン)

ファルカシュ、イベールライヒ

入場料2500円(Peatixから申し込みで2100円)+1ドリンクオーダー

会場:Space Orbit(三軒茶屋駅より)

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4月に演奏する二重奏に引き続き、クラレボで木管五重奏の演奏です。こちらは予約まだまだ受付中ですのでぜひ。金曜の夜ですが、20時からですのでお仕事や学校のあとでも間に合いますよ〜!

ご予約は http://www.kurarebo.com か 問い合わせフォーム までどうぞ。

 

 

2本のファゴットによるRomance

東京公演 2017年6月4日(日)19:00〜@名曲喫茶カデンツァ 

大阪公演 2017年6月17日(土)19:30〜@箕面市立メイプルホール

ファゴット 殿村和也 松本静香

ピアノ 森りか(東京公演)、石股あかり(大阪公演)

ロマンスop.62/エルガー、ロマンスop.85/ブルッフ、2本のファゴットのためのコンチェルティーノ/スティーブンソン ほか

入場料 2500円

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ひょんなことから知り合った大阪で活躍中のファゴット奏者、松本さんことしーちゃんと一緒に演奏します。しーちゃんは妹のようなお姉さんのような、親友のような恋人のような、なんとも表現しづらいくらい仲のいい相棒なのです。いつかこんなコンサートができたらいいね!と言っていたことがついに実現します。ぜひ、聴きに来てくださいね!どちらの公演も 問い合わせフォーム までご連絡いただければチケットご予約させていただきます。

 

ジャパン・ウィンド・プレイヤーズ室内楽公演

2017年7月3日(月) 19:00〜(?)

曲目、入場料、出演者未定(随時更新していきます!)

会場:ひまわりの郷ホール(上大岡駅より)

 

所属団体であるプロの吹奏楽団、ジャパン・ウィンド・プレイヤーズの室内楽公演です。曲目など調整中です。決まり次第随時更新していきますのでぜひぜひご来場くださいません。 チケットは 問い合わせフォーム まで。

 

2017年度もたくさんの演奏の機会を頂けてとっても幸せです。このほかにも、所属オケの演奏会が月2〜3回あったりします。そちらについては ホーム - テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ をご覧くださいませ。今のところ、今年度の公演はすべて出演予定です。

 

どの演奏会も、ご来場いただいた際は終演後ぜひロビーでお声かけくださいね!

部活でファゴット担当に「なっちゃった」みなさまへ。

こんにちは。ようやく暖かくなってきましたね。桜も少しずつ咲いていますが「くっそ寒いけど、4月入っちゃったししゃーなし咲くか」って声が聞こえてくるようですね。笑

 

さて、新年度です。学生の皆様は環境ががらりと変わっていますね。部活の指導などをしている先生方も、きっと今が1年で1番忙しいシーズンなのではないでしょうか。

4月から部活でファゴットを始める方、多いと思います。4月から部活にファゴットを導入する学校多いと思います。ようこそ。ファゴットは「地味だけど味がある難しい楽器」なんてよく言われますが、地味かどうかは吹き手のあなた次第、そして難しい楽器ではありません。(過去記事「ファゴットは簡単な楽器なんですよ。 - ファゴットの吹きかた」ぜひご覧ください)

ファゴットという楽器を大人になって吹いている人に質問すると、8割以上の人が「他の楽器をやりたかった(やっていた)けど人が足りなくてファゴットに」と答えます。だからもし、貴方が希望の楽器からあぶれて(もしくは他人に譲って)ファゴット担当になったのなら、それはファゴットへの「適性」であること、ここにはっきりとお伝えしておきます。穏やかで柔軟性が高く、ユーモアがありちょびっとだけ目立ちたがり屋、それがあなたの性格ですっ(びしっ)

 

さて、本題。これから吹奏楽部でファゴットを始めるみなさま。

先輩や顧問の先生に、あれやこれや言われると思います。

バスクラリネットやチューバの陰で、自分の音なんて必要ないんじゃないか、と葛藤することがたくさんあると思います。サックスの同級生に「なんでそんなに指回らないの?」と罵られることもあるかもしれません。大きな音が出ずに悔しい思いをすることもあるでしょう。楽器が欲しいなとインターネットで調べたら、見たこともないような数字が並んでがっくりくることかと思います。リードが高くて親御さんの機嫌を損ねたりもするでしょう。

 

ファゴット吹奏楽部に存在する低音管楽器の中で、もっとも歴史が長い楽器です、新参者のバスクラリネットやチューバにでかい顔をさせていてはいけません。サックスと一緒に音階練習をしてはいけません、あなたはあなたのペースでやればいいのです。ファゴットの音量は響きと音色で出します、息を入れればいくらでも大きな音が出る、という仕組みにはなっていません。「100万以下のファゴットは楽器ではない」と言われていたのは古く昭和時代の話です、その半分以下でもじゅうぶん使える楽器が買える時代です。リードはプロ奏者によるハンドメイドです、自分で作る手間や時間をお金で買う行為ですので、1本3000円は大変にリーズナブルなのです。

 

ファゴットを含んだ編成の部活指導をされている顧問の先生へ。

先生「バスクラ、チューバ、バリトンサックス、コントラバス、Aから」ファゴット「えっ、同じところやってるけど呼ばれない」という経験、ファゴット吹きは100人いたら99人は経験したことがあると思います。とても寂しいです。呼んであげてください。スコアの上の方にいるので忘れやすいかもしれませんが、もし忘れたことに気づいたら「ごめんファゴットも」と一声かけてあげてください。

ファゴットは聞こえないけど、全体のサウンドに影響を及ぼす大事な楽器だ」と生徒を説くこと、いいと思います。ですが、たぶんその話、生徒の心は動いてません。本当にそうかどうかは、ぜひブラインド審査(ppからffでぜひ)で試してみて結果を教えていただきたいところです。生徒を発奮させたいのなら「(大事なところで)ここで君のファゴットでいい音が聴きたい」と言ってあげてください。

うちのファゴットは音が小さい、と悩んでいますか?本当に小さいのかもしれません。僕が指導先において「うちの子は音が小さいので困ってます」と相談されて、本当に音が小さい子はほとんど見たことがありません。ダブルリード楽器は、サックスや金管楽器のような凄まじく指向性のある音量は出ません。もしその事を知らずにいるとしたら、あなたは致命的に無知です。30分でいいから勉強して出直してきてください。

クラリネットやトランペットならともかく、ファゴットに指導者を呼ぶ余裕はない、と本音を漏らす気持ち、分からないではありません。でもダブルリード楽器は、金管楽器でいうところの唇に該当する箇所がリードです。リードのことを独学でどうにかしようとすると、おそらく指導者を呼んだ方が安く済むくらいお金がかかります。結果としてよくないリードを吹いていて、いい音が出ません。せっかくファゴットがいるなら、ぜひ指導者を呼んであげてください。ツテがなければ、僕を呼んでください。全国各地、どこへでも参ります。→問い合わせフォーム

 

 

とにかく魅力的で、始めたら病みつきになってしまうのがファゴットとという楽器です。上達も難しくはありません。

部活でファゴット担当に「なっちゃった」みなさま。あなたはとっても幸せだと思います。ようこそ、ファゴット吹きの輪へ!