ファゴットの吹きかた

ファゴットの吹きかたとはなんぞや、と日々葛藤するブログです。

脱・ロングトーン練習のすすめ。そのロングトーン、本当に必要ですか?

こんにちは。まさかの2日連続投稿!に、なるでしょうか?笑

いま私は、明日に迫った関西ファゴットフェスティバルの前日リハーサルに参加するべく大阪へ向かっています。関西ファゴットフェスティバルというのは、毎年行われているファゴット吹きが100人以上集まるイベントで、前半はゲストによる演奏(今年は千葉交響楽団の柿沼麻美さんが来ます)やプロ・アマ有志団体によるアンサンブルステージ、後半は100人の大合奏によるステージによる演奏会です。

今年で4年連続の参加中で、僕はこのイベントにたくさんのロマンを感じています。いつか、東京で....と、このことは今は置いておきましょう。でもチラシも置いておきましょう。

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さて、今日はロングトーン練習についての記事です。

まず先に言っておきたいのは、ロングトーン練習は絶対に必要な練習だと思います。特に初心者やブランク明けのリハビリ、高音域に慣れるための訓練、などに効果があると思いますし、何よりも曲中のロングトーンを上手く吹くのはとっても難しいことです。そのための訓練は必要だと思います。それは絶対にそうです。

 

 

が。

 

 

あなたは思い込んでいませんか?

ロングトーン練習さえしていれば音色が良くなる

ロングトーン練習さえしていれば上手くなる

ロングトーン練習さえしていればコンクールで金賞が取れる

ロングトーン練習さえしていれば音程が良くなる

ロングトーン練習さえしていれば指が回るようになる(!?)

 

すべて、間違いだと僕は考えます。ええすべてです。

 

ロングトーンの練習は、あくまで「音を長く伸ばすための練習」で、それ以上の効果も以下の効果もありません。

 

先述のとおり、音を長く伸ばすということはとても難しいことです。その練習は必要だと思います。でも時間は有限です。

いま目の前にある譜面、すべてきちんと音が並びますか?その音は納得のいく音ですか?

指揮者や指導者から、ほかに課題を与えられていませんか?

スケール練習は完璧ですか? ※これは持論ですが、スケール練習は24調全てが寝てても綺麗に回る(B♭〜Eまでは3オクターブで)ようになってようやく脱・初心者だと思います。テンポ不問で。それについてはまた別の記事で。

 

いや、いいんです、今あなたに必要な練習が、音を長く伸ばす訓練なら、それをぜひ納得のいくまで練習してください。でも。

特に吹奏楽出身者(もちろん偏見ではなく統計的に)に多いですが、ロングトーンで吹かせればプロみたいな豊かな音を出せるのに、譜面を吹かせると魅力9割減。譜面は読めないわ音は並ばないわで、レッスンで教えることが多すぎて終わりません。あまりにもテクニック的に不備が多いから普段どんな練習をしてるのかと聞くと、ロングトーンに1時間。残りの時間をスケールや曲の練習にあてている、と。

それは野球に例えるなら、3時間の練習のうち1時間ベースランニングにあてるようなもの。料理に例えるなら、1時間しかないのに40分かけて具材を切ることに集中するようなもの。サッカーなら2時間の練習で1時間パス練習し続けてるようなもの。

いやいや、時折そーいう日があってもいいと思います。それで成果が出てるならそれでいいと思います。あなたが本当にロングトーン練習に必要を感じるのならそれでいいんです。でもそれ、本当に意味がありますか?

その状態の子に「君は半年間ロングトーンの練習しなくていいから、代わりにスケールを全調2オクターブで覚えなさい。寝てても吹けるようになったら3オクターブ目をゆっくり覚えていきなさい」と言って、次のレッスンでは見違えるほど上手くなってます。

 

僕が思うに、ロングトーンの練習というのは基礎の中の基礎です。

ロングトーンでいい音作り(基礎の基礎)、ロングトーンで作ったいい音を最も単純な音列であるスケールで並べる訓練をする(基礎)、そのスケールを曲中で生かせる練習をする(実践)、という流れだと考えます。

そしてファゴットという楽器は、リードとボーカルと楽器が整ってさえいれば、ロングトーンの練習にそこまで苦労はしないはずなんです。何度でもいいますが、もし苦労しているならロングトーン練習をたくさんしてください。でも多分、その前にリードやボーカルを確認してみたほうがいいかも。

 

実は何年も前から考えていたことなのですが、こうして記事にしたのは色んな子を教えて確証を持ったからです。

「今のあなたは、ロングトーンがうますぎる、今それ以上はロングトーンは上手くならないから、スケールを練習しなさい。1週間で別人のように上手くなるから。」

この指示で別人クラスに上達した子が本当にたくさんいます。逆にレベルが上がっていくと、またロングトーンの練習が必要になって指示したりしますけれど。

 

 

ロングトーン練習は万能ではありません。限られた練習時間の中で「何も考えずとりあえずやればいい練習」だと思ってるなら、それは大きな間違いです。何も考えずとりあえずやればいい練習なんて一つもありませんから。

必要な基礎練習は人によって違います。今あなたにとって何が必要なのか、ちゃんと考えて選択すること。時間は有限なのですから。

ロングトーン練習の呪いから皆さんが解放されますように。

 

それでも自分のロングトーンに自信がないのなら、一度あなたのロングトーンを僕に聴かせてください。そのうえで、あなたに必要な基礎練習を一緒に考えていきましょう。お問い合わせは https://docs.google.com/forms/d/152E8ulw8F4t_WI4IiZTHX8oQyTcXz2cckPJVaPhpdyM

こちらから。お待ちしてます。