ファゴットの吹きかた

ファゴットの吹きかたとはなんぞや、と日々葛藤するブログです。

第21回門下発表会でした。講評と次回のことと、最近のこと

こんにちは。ファゴット奏者のとのむぅです。暑い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。

僕は今月何かとバタバタしていて、発表会のある月に数えてみると本番が6件。いや月に6回本番、ってそこまで多いわけでもないんですが自主公演があったり遠征が合ったりで何かと心と体をすり減らす日々でした。もっと余力もって暮らしたいものですねー。

 

さてそんな7月でしたが、古い付き合いの仲間たちとの木管五重奏にピアニストを招いた6重奏のコンサートがありました。

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この歳になってくると10年来の友達と会えるだけでも嬉しいのに、5人全員が現役のプレイヤーでいることも嬉しく、そんなメンバーでコンサートをやったらそりゃもう面白いに決まっていて。リハーサルから本番まで幸せな気持ちでいっぱいでした。

7/19に行った東京公演のほかにフルート菅野さんの地元である山梨公演も開催し、たくさんのお客様にご来場頂きました。本当にありがとうございました。

東京公演ではオンライン配信も行ったため、なんとまだアーカイブで聴けるらしい。ご興味のあるからはぜひこちらから。

https://twitcasting.tv/c:farbe_winds/shopcart/69837
終わってしまったコンサートを聴き返せる、ってすごい時代になりましたよね・・・。

 

時系列は逆ですが、7月10日に第21回の門下発表会も行われました。

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演奏水準の高まりを感じつつ、今回は会場がすごくよく響くところだったのもありみんな気持ちよさそうに演奏していてよかった。とにかく音楽をやる側というのは楽しくなくちゃ。より楽しむために、腕を磨くのです、楽器なんて上手けりゃ上手いだけ楽しいんだから。

しかし広いところで写真撮るとそんなに人数多く見えないですね。笑 今回は遅れて参加・早退者が多かったこともあり集合写真がちょっと寂しいですね。それでも写真の人数がけっこういる理由は後述。

今回は特に音大生が2名も参加してくれて、それぞれ面白いものを聴かせてくれました。彼女らが居ついてくれることでよりこのコミュニティも盛り上がっていくことでしょう・・・!

 

毎回場所探しに苦労しています。だれか大出世してうちの門下のためにホール立ててくれないかなぁ。笑

次回もなんとかなりました。次回発表会のご案内です。

秋のひとときコンサート(第22回とのむら門下発表会)@東久留米

2021年11月13日(土)お昼ごろ開演予定、終演時間未定

参加費:

ファゴットソロ参加(社会人)15000円

ファゴットソロ参加(学生)10000円

アンサンブル参加(一律、1人あたり)6000円(編成人数によって多少の増減あり)

ファゴット吹きか、アンサンブル団体ならどなたでもご参加頂けます。いずれも本番までに僕のレッスンを1回以上受けて頂きます(レッスン代1回分は参加費に含まれています)

いつもこんな人が参加しています

・月に1~2回うちにレッスンに来ている僕の生徒

不定期にレッスンに来る僕の生徒

・オケでファゴットを吹いていてレッスンには通ってはいない人で、ソロ曲を演奏したいと思っている人

・とにかくファゴットが吹きたい人(初心者やブランク有の人も・・・!)

・普段は他の先生にファゴットを習っているが、ソロ曲を演奏してみたい人(まず普段習っている先生に相談してみてくださいね)

・本番に飢えたファゴット専攻の音大生たち(学校の先生に必ずご相談ください・・・!音大生割引あります)

・アンサンブルの演奏機会を探している人たち(ファゴットがいない団体でも可です)

などなど。多岐にわたる参加者たちが、毎回20名以上参加しています。ファゴット吹きの友達が必ず1人以上増える1日です(たぶん)

 

うちの門下発表会のコンセプトは

「とにかくレッスンを受けて人前で1曲吹けば手っ取り早くファゴットが上手くなるはず」

です。実際その通りで、毎回毎回1曲を通してたくさんの技術と経験を得てみんなすごく上手になっています。エントリーお待ちしております!直接僕までご連絡頂くか、下記のフォームからどうぞ!

発表会参加・お問い合わせフォーム

 

 

さてここから先は第21回門下発表会の講評となります。参加者以外の方は読んでも分からない内容になります。ご容赦ください。

と毎回アナウンスしているんですが、けっこうこの講評記事、参加者以外の人に読まれているんですよね・・・。奏者以外の人が読んで意味の分かるようには書いていないつもりなんですが、実際どうなんでしょうか。

でも講評記事がオープンであることで、僕がどんなふうに生徒たちの演奏を聴いているかが分かるのはいいのかな。基本的には本番を聴いていて一番楽しいのは僕だと思います。1回目のレッスン、最後のレッスン、本番、と成長の過程を見ているのは僕だけですから。なのでいつも発表会の日はとっても楽しいです。次回もみんなの演奏が楽しみだぞー。

ではいきましょう。

 

 

1.ヴィヴァルディチェロソナタ4番より1.2楽章/ヴィヴァルディ
演奏時間としては短かったですが、内容のある良い演奏でした。安定感を感じるようになったには「上達」の一つの基準になるでしょう。また音程も非常に良くなりました。
演奏開始の合図でしっかり曲のテンポを感じましょう。「アンダンテ」や「アレグロ」等の発想記号(≒テンポ表記)が曲の一番最初に書いてあるのはテンポ設定が曲を決定付ける大きな要素だからです。最低でも頭の中で1小節数えてから合図のためのカウントを始めるようにしましょう、それで最初の事故は防げたはず。
音の濃淡のコントロールが非常に上手になりました。これを忘れることのないように。どんな時代の曲でも使える技術です。それに実際の曲の強弱が乗ればより効果的です。具体的な表記のない曲だからこそ、決定した強弱をはっきり示すようにできるとよかったでしょう。
はやい楽章はレッスンでも言いましたがハツラツとした雰囲気やスピード感がもっとあるとよかったですね。例えばアウフタクトの息のスピード、シンコペーションのリズムの取り方、装飾の入れ方など方法はいくらでもあるのですが、まずは意識からかな。
そしてこれはソナタなので、もっとピアニストとの運びが統一できるとよりよかったと思います。バスの進行を意識して(実際に吹いてみて)演奏できると合わせの時間は少なくても良かったと思います。
しっかり成長してきてくれて嬉しく思います。この安定感が幻でありませんように!

 

2.ファゴット協奏曲より第1楽章/ウェーバー
とにかく楽器の鳴りが各段に良くなりました。鳴りが良くなれば弱奏も光ります。明らかにレッスンに通うようになる以前の演奏よりレベルアップしていてすごく嬉しいです。ここまですぐに成果が演奏に出るのはよく考えて練習してきたからだと思います、まずはそれを誇りに思ってほしい。
懸念されていたアリアの部分も非常にのびやかに歌えていました。もっと積極的でもいいかなとは思いますが、ここから先は趣味の世界だったりするのでね。
さて得られた楽器の鳴りや歌心ですが、ぜひ厄介な連符の中にも活かせるようになるかどうかが今後の課題になってきます。ただ速く音符を並べている、という印象に取られないような工夫はどこまでいっても続けていってほしい。時たまうまくいっているシーンもあるのですが・・・。
楽器は鳴るようになりましたが、今回のような響きのいい会場ばかりではありませんので、もっと全身をつかった演奏を心がけるといいですね。もちろん腰から下は直接音に影響は与えないのですが、人間の体は繋がっていますので、棒立ちではやはり限界があります。重心を落とす、とかお腹を使う、とか、色々な言い方がありますが、最後は自分の感覚で掴むものだと思いますので、またそこらへんはレッスンで。
ファゴット協奏曲あるあるですが、再現部の方が提示部より良い音がします。もっと第1音を大切にする訓練、大事なのかもしれませんね。

 

3.ファゴット協奏曲より2.3楽章/ウェーバー
まずは表情かな。礼は作ってでもいいから笑顔で。どんな立場であれステージに上がって人に演奏を聴いてもらう以上、「いいかっこ」をする必要はあります。
とにかく久しぶりの参加なのに堂々と演奏していてすごいなと思いました。もともと君の持っている歌心はすばらしいのですが、それがファゴットを介して伝える技術がいまひとつ、という印象だったのですが今回の2楽章は非常によく伝わってくる演奏でした。かなり細かく言ったから、というのはもちろんありますが、しっかり歌い方が身体に入っていないとここまで安定しては演奏できないと思います。これが他の作品でもできるといいのですが・・・・。
課題としてはやっぱり安定感です。どんなウットリする旋律でも落とす音符が多いと人の心は動きません。また音符は落としていなくてもたまに細すぎる音を出してしまい、それが旋律にハマらないんですよね。
ファゴットの経験年数のわりにきっちり譜面を読んできた回数が少ないんだろうなという印象は1回目のレッスンでいつも思います。楽譜をきっちり読む力といわゆる基礎力、これを効率よく身につけるにはやっぱりエチュードのレッスンです。1曲ずつでもいいから持ってきてみるのはいかがでしょう?無理のないペースでね。

 

4.夜の音楽のための3つの小品/ボザ
急、かつ拙い代役で申し訳ない、とにかく本番で演奏ができてよかった。
「夜の」というところに重きを置いたレッスンでしたが、雰囲気が出ていてとってもよかったです。また旋律・伴奏の関係性や和音の構成音のとしてのバランス感覚が非常にいい演奏だったと思います。そこが木管アンサンブルの難しいところなはずですが、苦にしない演奏はさすがでした。これによって旋律はより浮いて聴こえるし和音は実際以上に良い音程に聴こえてきます。バランスを取りつつ個性を出す、というのが木管アンサンブルの醍醐味ですね。
2楽章のヘミオラ、上手くいってはいますがもっと楽しめるといいですね、本番だけ1人奏者が違うのでそこは余裕がなかったのだとは思いますが・・・。レッスンで課題としたトリルについては2割ほど改善されていた、という印象でしょうか。トリルはとどのつまり2度の音程による高速連符です。綺麗に入るなら練習は必要ありませんが、うまくいかないのなら連符としてキッチリ練習しましょう。ファゴットの弟子たちには徹底させていますがそれによってかなり演奏全体の印象が違ってきますのでぜひお試しください。
さて3人それぞれ素敵な音色と音楽性を持っていますが、旋律を歌うときの第1音、というのをもっと大切にしましょう。フレーズによってどんな音がいいかは違いますが、おのおの「とりあえず音を出してから作ろう」という印象に聴こえてくるので非常に勿体ないです。自分のことなので大変恐縮ですが、そこが4人で演奏してると僕とはずいぶん違うようです。ぜひ意識して今後も色んな曲に挑戦してみてくださいね。

 

5.アンテルフェランス/ブートリー

難曲に挑戦してくれてありがとう、まず僕の弟子たちじゃ手の出ない曲です。笑

カデンツァのテンポ操作が雑なのが気になりました。「それっぽく」はあるのですが、自分で操作している、というよりは曲のイメージでなんとなくいっていて、それが上手くはまる演奏もあるのですが・・・・そのあたりが丁寧、もしくは上手くはめてる奏者がプロの世界には多いようです。参考までに。

あと癖なんだと思うけど、特定のタイミングで足で地面たたくみたいで、今回の衣装・会場なら気になるほどではなかったけど、シーンによってはかなり雑音になるので気を付けてみた方がいいかも。関連して、立って演奏するときにリラックスはとてもよくできているのでもう少し力の入れ方や抜き方(重心の位置を気にしたり、逆にしっかり演奏に関係ない部分の動きを止めるとか)を考えると、全身つかって演奏ができるようになると思います。そうすると今少しだけ力任せに鳴ってる楽器が自然な鳴りを見せてくれるはず。

ピアニストとのアンサンブルは見事でした!少なくとも縦はバッチリだったので、和声感なんかもピアノの音から拾えるといいですね。

もしまた参加するときがあれば、歌う曲やバロック・古典ものあたりの演奏も聴きたいですね、僕だけじゃなくて、ほかの生徒たちもそう思ってるはず。

 

6.ファゴットソナタ/グリンカ

音楽に思い切りの良さとそれに見合った楽器の鳴りに惚れこんでお声掛けしたのですが、良さはそのままに色のあるグリンカ、大変に見事でした!グリンカ3人いましたが、いわゆる「いろけ」の部分で一番良かったと思ってます。レッスンで課題としたフレーズのブツ切れ問題も非常に良くなっていて、安心して聴いていられる演奏でした。

更に課題を与えるとするならアゴーギグをもっとできるようになるといいです。やってるんだけど、音楽の流れが止まってしまったり、逆に流れすぎてしまったり、弊害が必ずついてくるので、やりたい音楽をきちんと生かせる自然なアゴーギグを身につけましょう。例えばいわゆる名演の演奏の物まねをしてみるとか、そういった練習が効果的かもしれません。

あとは発音。レッスンでも触れましたが、もともと持っている「強い発音」に新しく「優しい発音」が加わって非常に多彩な演奏だったのですが、例えば「甘い発音」「意志のある発音」「合わせにいく発音」なんてものがあっても面白いですよね。非常に抽象的ですが。素晴らしい音楽性を持っているので、もっとそのための技術の引き出しを増やしてほしい。先述のアゴーギグもその一つかな。

また楽器の悪いところでもあるのですが音色が一辺倒になりがち。ハッとするような優しい音、ゾッとするような暗い音、なんかも突き詰めていってほしい。色々と高望みになってしまいますが、ぜひまたレベルアップして(しに)なにか吹きにきてくださいね!

 

7.ファゴットソナタホ短調/テレマン

昔と比べて明らかに変わったのは安定感。とりあえず聴いていてずっこけることがなくなったこと、これは大きな進歩でしょう。しつこいくらいに教えた曲の様式やフレージングなんかはうまく演奏できていました。高望みするのであれば、これを「教わったこと」ではなく「自分の意志=音楽」として聴こえるところまで昇華できるといいでしょう。以前「それは変だからヤメナサイ」と散々レッスン言ってきましたが、ここまでレベルが上がってくれば自分で思うことを色々と試してみてもいいでしょう。

またピアニストともっとアンサンブルしましょう。「合わせてもらう」のは簡単ですが「こちらから乗りにいく」という事も全然ありうることです。確かにここはファゴットの発表会で、ピアニストたちはたくさんの共演者を抱えていますが、1人1人に全力投球してくれていますから乗りにいけば必ず答えてくれます。

また丁寧に吹こうとしすぎるとテンポが後退していくのはお約束みたいなものですね。気を付けましょう。音楽は丁寧に扱いすぎると腐ってしまうこともあります。

また音色が1種類なのも気になります。発音の種類が少ないが主な原因でしょう。(とても)良くも(少し)悪くも眠い演奏に寄ってしまっているので、これからはもっと刺激的な演奏を意識してきましょう。

4楽章の連符は見事でした。もっと色がつけば言うことナシ。

 

8.ファゴット協奏曲2.3楽章/ウェーバー

今回一番伸びたのがあなたです。最初のレッスンから比べれば全くの別人です、安定感も音色も音程もテクニックも各段に良くなりました。これから向き合う譜面すべてに今回のような向き合い方をしてくれることを僕は切に願います。

技術的な課題の一つとしては、上のG以降の音域への慣れでしょうか。いわゆる基礎練習であるロングトーンやスケールをこの音域まできちんと扱うようにし、中・低音と遜色のないところまでやってみてほしいところです。この音域が絡むと途端に危なくなってくるので、まずは慣れから。指も嫌ですが音のツボもけっこう難しい音域です。

また音の処理が少しいい加減なところがあるようです。伸ばした音をどう切るか、フレーズ最後の音をどんなふうに扱うか、というのは聴いている人への印象をかなり操作する要素だと思いますので、今後気にしてみて。

3楽章のタンギングが大方どうにかなったこと、本当に安心してます。まだまだ入口に立ったところなので油断してほしくはないけど、この3楽章が吹ければたいていの曲はどうにかなります。まだまだブレスが浅いので、息のスピードに頼ったタンギングなんかも覚えていくとこの先便利でしょう。

つぎに取り組む曲は恐らく、今回もそうですがちゃんとフレーズの切れ目(=休符)がある曲を選び、おなかいっぱい息を吸ってタップリ楽器を鳴らせるものにしましょう。もし曲への挑戦は少し休むにしても、せっかく身につけた技術ですから忘れてしまわないうちに、エチュードでもなんでもいいのでぜひレッスンに持ってきてくださいね。ここからが大変だったりするのです。忘れるのは早いぞー。

 

9.無伴奏チェロ組曲1番よりメヌエット1.2、ジーグ/J.S.バッハ

繰り返し見事でした!よく吹き切りましたが、ふらふらするほど無理するのもちょっと考えものです。本番は確かに大切ですが、聴いている方もドキドキしてしまうので。

とにかくバテる前までに関して、テクニック的にも音楽的にも非常にいい演奏ができていました。音色・音程もかなり高水準だったと思います。

今回事故が多くなってしまった原因の一つとして、ご自身の練習が「うまくいったとき」を想定していたからだと思われます。実際、うまくいっている箇所は非常にいい演奏ですし危なげなく聴こえます。しかし逆のところは・・・。特に無伴奏のような体力的にも精神的にもきつい曲を演奏するときは「うまくいかないとき」を想定して練習しましょう。そうすれば自ずとテンポの設定も定まってきます。また起きたミスのほとんどがブレスの前後なので、とにかくバッハを吹く時はブレスのことにもっと執着して。もっと時間使って吸っても良かったし、ブレスをまたぐ練習が圧倒的に足りていない印象を受けました(うまくいくときはいいのですが・・・)

またこれも無伴奏曲あるあるですが、吹きなおしはやはりNGです。ミスをしても音楽は先に進んでいますから、カウントを止めることはしないように、ましては巻き戻しは絶対にダメですので、「通り過ぎる練習」をもっと心がけましょう。上手い人はミスのリカバリーも上手いものです。

うまくいかなかったところばかり言っても仕方がないので、全体としては音楽性にあふれた非常にいい演奏だったと思います。「バッハはつまらない」と思わせない演奏ができていたのは、丁寧に楽譜に向き合った結果ですでぜひ胸を張っていただきたい。そのうえで、本番でいかに聴いている人の心に響く演奏をできるか、というところに標準を合わせて頑張っていきましょう。

大変な世の中ですが、またレッスンお待ちしてます。

 

10.ピアノ三重奏曲1番より1楽章/ブラームス

弦と管の違いについて、ピアニストも含めてすごく苦心したのが良い意味で伝わる演奏でした。僕の持論としては「どう頑張ってもチェロの音は出ないし、出したければチェロを弾いたほうが早い」なのであまり気にしないほうなのですが、突き詰めるとそれはそれでいいものですね、勉強になりました。

まあとにかくピアニストありきですね、この曲のアンサンブルは。奏者ひとりひとりの地力があってこそのアンサンブルがたくさん聴けて、僕が思う理想のアンサンブル象で聴いていてちょっとうれしくなりました。「けっきょくアンサンブルなんて個人技の集まりなんだから上手い人が正義」って常々思ってるんですよね。

ヴァイオリンは音価が短い時にもっと楽器が鳴るといいですね。僕は弦楽器についてまるでわかりませんが、例えば使える弓の量が多ければ変わってくるんでしょうか。短い音を大きく、というのはどの楽器でも難しいものですね。しかしとっても大切なことですので是非意識していってみてください。ファゴットに関してあまり言う事はありませんが、やっぱり弦楽器と一緒になるとビブラートは欲しいですね。ビブラートの目的も手段も弦楽器と管楽器じゃ違うけど、完全ノンビブラートだとちょっとなぁ、という印象でした。pizz.の表現ももう少しこだわってほしかった。

続きの楽章もできればいつか聴いてみたいですね!

 

11.狩人の英雄

何の曲かはお察し。ユニゾンを上手く使ったアレンジ、のつもりがやっぱり音程は気になりましたね。同じ楽器でユニゾン時、音程というのは本当に個人技によるところが大きいです。自分のクセを理解していれば「合ってないな」と思ったとき上げればいいのか下げればいいのかすぐ分かるはず。格上のプレイヤーとのユニゾンならなおさらです。これに関しては7人(僕もです)全員思い当たるところがあると思うので気にしていきましょう。ユニゾンが合う、というのはアンサンブルにおいては本来基本中の基本なはずなので。

コントラはとにかくパワー不足でしたね。一番大きくていいところでいまいち鳴ってこないのがもったいなかった。音色・音程のことも大事ですがとにかくコントラファゴットは音量の幅がないと室内楽では役に立ちません、リードのことから見直してみましょう。

とは言え、とにかくそれぞれが良い責任を果たしてくれたから少ない合わせでいいクオリティの演奏ができたと思います。「発表会で吹く」というのが久しぶりだった人たちも半分くらいいましたが、面白かったと思います(?)のでぜひ今度はソロ曲吹きに戻ってきてくださいね。僕は生きてる限り何年でも何十年でもこの会続けていきますので、いつでも!

 

12-17は今回限りで参加して頂いたサックスの方々の演奏となります。僕は本番しか聞いていませんし曲もすべて初めて聴いたものですので軽く講評・感想などを。

 

12.25の日課練習より11番/クローゼ、13.50のエチュードより13番/ラクール

訳も分からず参加したことかと思いますが堂々と演奏していて立派でした。僕がまず関心したのはステージの立ち姿がいいこと。礼も綺麗でしたが、みんな大きな拍手をしていたのでそれにこたえるような礼(礼の長さ、顔を上げたときの表情などなど)ができるとより素敵でした。「聴いてくださってありがとう」の気持ちをちゃんと一連のしぐさに組み込めるといいですね。

厳しいレッスンを受けてることかと思います。技術的に僕が言う事は何もないのですが、ブレス後の1音目がだいたい発音や音の輪郭がボヤけているのが非常に勿体なかった。曲によって色んな発音があると思うけど、いつもボヤけた発音ではメリハリがなくなってしまうのでまずは発音を「選択」することから始めましょう。

あとは「私はこう教わったのでこう吹きます」という思考が丸見えです。教わったことを精一杯、でもいいので、「私はこう吹きます」と聴こえるように音楽を自分のものにできるといいですね。将来プロの現場でお会いできたら素敵ですね!楽しみにしています。

 

14.スペイン組曲より第3曲「セビーリャ」/アルベニス

第1音目から「スペイン組曲」らしい明るい音が聴こえてきて素敵でした。まず曲の「色」が見える演奏ができるのは本当に素晴らしいことだと思います。テンポ感も素敵でしたが、技術の問題なのかもしれませんが短い音のタンギングがすべて重たく暗いためせっかくの明るさ・軽さが損なわれてしまう傾向にありました。終始バリトンの先生がやっている軽いタンギングをもっとまねできるとよかったんじゃないかなと思います。速さの問題で間に合わないのであれば、ぜひダブルタンギングを・・・!ダブルタンギングは速さのためというより質をコントロールするリソース(余裕)を得るために使うものだと僕は考えています。

和音の変化が鮮やかで聴いていてわくわくする演奏でした。ソプラノのリーダーシップが光っていて素晴らしかったです。

 

15.海の上のピアニストより「愛を奏でて」/モリコーネ、16.夏の思い出/中田喜直

美しい旋律で始まって素敵でした。それぞれが色々な旋律の歌い方をしていましたが・・・・僕には全体的にすこし「棒吹き」に聴こえてしまいました。原因は音色が一つであること、ビブラートの種類が少ないこと、発音が1種類であること、などなどたくさんありますが、まずは「欲」から、と僕は自分の生徒には教えています。いい演奏をしてどうなりたいか、どうしたいか、はそれぞれ違っていいので、例えばモテたい、例えば曲のすばらしさを伝えたい、例えば聴いている人を喜ばせたい、例えば共演者が気持ちよく演奏できるよう支えたい、なんでもいいので、まずは強い「欲」を持つことです。音を並べて満足してしまわないで、「あなたのサックスが好き」と言われる奏者にぜひなって頂きたいです。

アンサンブルは綺麗にまとまっていましたが、和声感がたまにどこかへ行ってしまうので聴いている側の集中力が切れる瞬間がありました。音程を取る、というのはチューナーでどうこうではなく、今鳴ってる音の一番いいところにハマりにいく作業ですので、もっと感覚でそういうものがつかめるといいですね・・・!

夏の思い出はリズム隊がもっとオシャレだとよかったですね・・・どこか野暮ったく聴こえるのはリズムなのか発音なのか。ぜひ先生に聞いてみてくださいね。

 

17.グラーヴェとプレスト/リヴィエ

とにかく「グラーヴェ感」が僕の趣味でした。笑 遅い速いではなく、重量感。ねとねとしてて前に進めない感じ。大変見事な表現だったと思います。

一方でプレストは、テンポ感のわりに遅れて聴こえる印象があったのは、やっぱり発音でしょうか・・・。縦ノリになるとどうしても印象は遅く聴こえます。拍子を広く取ったり、プレストの中にも少しだけアゴーギグを入れたり、工夫の仕方は色々あるんじゃないかなーと思いますのでぜひお試しください。

それでもやっぱり圧倒的なサウンドでした。終わり方はもっと「なんちゃって」感があったほうが好みだったかなー、とも思いました。

 

18.6つの三重奏曲より/ワイセンボーン

今回参加してくれた音大生2人と僕で演奏しました。

楽しくやれればそれでよかったのだけど、2人にはどんな感じだったのか、ゆっくり話を聞く時間もなかったのが悔やまれますね・・・。

さて同族楽器のアンサンブル、ましてファゴットアンサンブルなんてこの世でもっともマイナーな音楽ジャンルはどんなふうに演奏すれば人の心に響くんでしょうか。これは持論ですが、同族アンサンブルというものは聴いてる人に「合ってるのに違う」を伝えることこそ極意だと思っています。同族でアンサンブル参加する子には全員に言ってる言葉なのですが、そもそも同族である以上アンサンブルがうまくまとまるのは当然で、その先の何をするか、が問題であるわけで。フルートアンサンブルなんかとの一番の違いは、ファゴットアンサンブルは全パート全てに見せ場、ソロがきっちり用意されているので、聴いている側はそれを楽しみにしているんですよね。個性はもっとぶつけていいし、多少逸脱してでも持ってる面白い音楽は見せてほしいし。それで多少乱れたって、そこは同族ですから、いくらでも修正がきくはずなので。

僕は、僕のレッスンを受けた子にはもっとやんちゃに吹ける奏者になってほしいなと思ってます。今後も期待してます。またぜひ一緒に演奏しましょう!

 

19.ファゴットソナタ/グリンカ

攻めの姿勢がたくさん見えていい演奏でした。音楽表現が非常に豊かになって、成長を感じました。音楽を仕掛けた箇所で技術的にほころびが起きやすいのは普段やらないようなことを今回だけやっているから、だと予想できるので、オケや室内楽でも今回みたいな積極的な音楽性を見せられるといいですね。

何度目かですが不規則ではありますが拍で体が動いてしまうのはやっぱりやめた方がいいですね、体の使い方うんぬんもありますが見た目に良くないです。まずは不動で演奏するところから。そこから体を使うことを考えていけば改善されていくんじゃないでしょうか。

アゴーギグにもっと魅力を感じたかった。ピアニストがついてくるしかないような、そんな圧倒的なリーダーシップを取れれば面白かった。乗っかるだけがアンサンブルではないです。逆にいうと乗っかるアンサンブルは非常に上手なんだけど。二重奏としての攻めがもっと聴きたかったかな・・・。

あと音量の変化は非常に豊かでしたが音色がすべて一緒なので、実際変わっている以上に聴いている方の印象は変わらないかも。暗い音、柔らかい音、いつでも引き出せるようになるといいですね。発音がやっぱりヒントになるかな。

自分でよく悩んでるだけあってしっかりいい方向に変わってきていると思います。次回の演奏も楽しみにしてます。

 

20.演奏会用小品/ピエルネ

変化に富んだ名演だったと思います。この曲の見せどころをよく理解し表現できていたため、「みんな大好きピエルネ」ではなく名曲ピエルネになっていました、お見事!

以前も思ったのですが、バランスとして少しピアノに負けてしまうところがあるみたいです。狭い部屋や近くで聴いているとそうでもないので、いわゆる傍鳴りになっているのかもしれません。どうすれば改善される、というものではないのですが・・・・フォルテが少々力任せに聴こえるところもあるので、力を抜くことによるフォルテ、ちょっと研究してみるといいかもしれません。抜けのいい音ってどんな音なんでしょうねー。

冒頭はもっとパワフルでもよかったかなぁ、と思いましたが、曲が進むにつれて楽器が鳴ってきているのでいわゆるスロースターターなのかもしれません。意識的に冒頭・前半を大きめに演奏するとそうは聴こえなくなりますのでお試しください。やっぱり何事も第一印象と言うのは大事なものです。

後半のリズム感は非常に素敵でした。これぞ6拍子、というリズム表現がたくさんあったので聴いていて面白かったです、ご自分でも何か掴んだ感覚はあるんじゃないでしょうか。

あまりレッスンで触れる余裕がありませんでしたが、インテンポの箇所にも少しずつのアゴーギグがあってもよかったかもしれませんね・・・・メトロノーム通りな印象を受ける演奏に聴こえるところもちょこちょこありました。もっと自由で良いです!

次回のレッスンで音の質(というか種類)に触れられたらいいなと思ってます。次回の参加も楽しみにしております!

 

21.パーセルの主題による演奏会用前奏曲/ピエルネ

衣装とっても素敵でした、各方面からも好評でした!

楽器の鳴り、技術共に本当に上手になりましたね。危なげのない演奏で安心して聴いていられました。曲の雰囲気が目まぐるしく変わるのが難しかったと思いますが、音色がちゃんと変化しそれぞれきちんと表現できていたのは素晴らしい。曲のイメージと実際のテクニックがバランスよく発揮されていました。

課題があるとすればピアニストとのアンサンブル。というか単純にテンポ感が乱れる瞬間があって、ピアニストとズレてしまうところがあるのが惜しかった。曲の雰囲気をよく理解していましたがテンポももっとイメージできればよかったですね。合わせが少ないのは仕方のないことですから、普段の練習から伴奏の音形をもっと想像しながら練習しましょう。

ここまでよく響く会場、考えてみれば初めてだった気がしますが、よく響いていました。音、技術、表現とあらゆる方面での成長を感じる演奏でした。

 

22.ファゴットソナタより1.2楽章/サンサーンス

名曲にして難曲、よく演奏できていました!レッスンでも少し指摘しましたが、細く鳴りがちな楽器なのでリードやボーカルの選択からもう少しふくよかな音色を意識できるといいかもしれません。響く会場だとより顕著ですね。

レッスンで指摘したダイナミクスについては非常に良くなっていました。「なんとなく」の部分がなくなることで、演奏がここまで魅力的になるのは地力の高さがうかがえます。バテに関しては色々な理由が考えられますが・・・腰から上しか意識していないように見えるので、もっと重心を落とし、全身を使った演奏ができるようになるとずいぶん改善するんじゃないかと思います。意識してみてください。楽章間、もっと空けても良かったですよ!

2楽章はもっとスピード感が欲しかった。1.4拍目(大きい1.2拍目)を意識するあまり重たくなってしまうのが原因なのかなと思います。テンポが変わらなくてもスピード感を、なんていうのは簡単なんですが、この曲でそれをやるのは本当に難しい・・・。そして1楽章で見せたようなダイナミクスの変化が2楽章でも見たかった。どうしてもテクニックのことばかりになってしまうのが気になりました。テクニック的には非常に安定して聴きやすくはあったのですが。

最初にテクニックを練習するときに、音量の変化、音楽の方向、スピード感、和声感、なんかも一緒に意識してしまえばいいのです。「まずは指と舌!」と思って速い楽章をなぞってしまうと、本当に指と舌だけになってしまうんですよね。

この会は年3回やるとんでもない会ですので、ぜひまたエントリーしてください!お待ちしてます。

 

23.ファゴット協奏曲より1楽章/J.C.バッハ

以前と比べて楽器の鳴りが増え、パワフルな印象になりました。小さい体がハンデにならなそうで安心しています。繊細な表現も覚えて、普段からいい意識で音楽に向き合っているんだなぁと感じました。

和声は勉強していますよね。あれは特に初期は暇すぎる学問ですが分かってくると、ある時から演奏に直結してきます。我々は単旋律楽器ですが、だからこそ和声感が大事です。Cdurだった旋律がFdurになったらどんな変化があるといいのか、Ⅴ7からⅠに戻るときどんな解決をしたらいいのか、といった具合に。技術的にはすごく成長していると思うので、もっと音楽家としての中身の成長を。もしかしたら今はファゴットを触っている時間以外のほうが大事かもしれません。「うまいファゴット」ではなく「あなたのファゴット」を愛してもらえるように。

それと、これは僕が言うことでもないですがそろそろ楽器のことを考えてもいいかもしれませんね・・・。将来ファゴットで仕事をしていくのであれば、考え始めるのは早いに越したことはないです。大学で習っている先生にも相談してみるといいかもしれません。

 

24.ファゴットソナタ/グリンカ

散々みんなから言われてると思いますが、繊細な表現が本当に本当に上手になりましたね。楽器が変わったことによってやりたいことができることが増えた、ということなのでしょうか。あらためてヤマハファゴットのポテンシャルの高さを思い知りました。音量の変化に加えた音色の変化が大変みごとで、コロコロと変わるこの曲の雰囲気にしっかり対応していました。

柔らかい音や弱奏に寄ったリード選びだったと思うのでそれでいいといえばいいのですが、当然ながらフォルテはもっと鳴っていてよかった。リードのくわえる位置だとかアンブシェアだとか、普通に吹いているだけでは得られないくらいの変化が何か所かあってもいいかもしれませんね、それだけ感情的な曲ですので。

また、僕が一番いいなと思ったのはピアニストとのアンサンブルです。縦が噛み合うのもそうですが、音楽の流れが2人で一体化していて、それが(いうべきではないのかもしれないけど)あとの2人との決定的な違いでした。合わせ1回でここまで合うようになるものなのか。みごとです。しかしところどころ音程感だけ惜しかったかな。要確認。

とにかく今回の演奏は完成度が高く素晴らしかった。うちの発表会史上最高クオリティのグリンカかもしれない・・・!

 

25.ファゴットソナタ/ヒンデミット

持ち前の音楽性と効率のいい練習・曲の勉強が噛み合った結果、このクセのある曲をここまで高いクオリティで演奏できるとは・・・!正直、驚きました。プロ顔負けの演奏でした、素直に尊敬します。

また、たぶん自分が一番わかっているのでしょうが少なくともこの曲を吹くには最高のリードでしたね。僕の持論でリードは100点満点中20点~60点くらいをどうにかするのが普通、と思うのですが、80点~90点のリードを用意できるならそりゃそれが一番だわ、と思わされました。2楽章冒頭Fisなんかもう名手も名手でした。これはなかなかできることじゃない。リードが噛み合えばやっぱりFOX以上の楽器はないですね・・・!

課題はピアニストとのアンサンブル。とにかくそれに尽きます。ズレるのは音楽的に攻めた結果、と思いきや君は攻めてる時はズレません。「ここは大丈夫」と思っているところでズレます、冒頭がいい例で。システム上少ない合わせになってしまうのは仕方ないですから、あとはこちら側がいかに普段からピアノの音を想像しながら練習しているか、です。今後はそこを課題としていってください。

次回もとても楽しみにしています。ハードルは高いぞ。

 

26.無伴奏チェロ組曲1番よりプレリュード、サラバンドメヌエット1.2、ジーグ/J.S.バッハ

全体として、軽すぎる。プレリュードはそれでいいし、正直すごい名演を期待したのですが、同じ温度で最後まで行ってしまったのが非常に非常に勿体ない・・・。組曲ですから、シーンをもっとバチっと切り替えていかないといけません。無伴奏曲はピアノに頼れない分、より個人としてのダイナミクスが問われることになりますから、技術的にも音楽的にもより積極的になる必要があるのです。もしかしたらテンポももっと違ってよかったのかも。サラバンドはより重厚に、メヌエットはより軽く。それだけでずいぶん印象が違ったかも。

悪いことばかり言いましたが高水準なバッハだったのは間違いないです、正直1回のレッスンでここまで仕上げてくるとは思っていなかったのでポテンシャルの高さを感じました。歌い方やフレージングのアイディアが豊富なところは特に素晴らしかった(メヌエット2とかプレリュードの後半とか)のですが、逆にいうとアイディアの数にムラがあって、ただ流れているだけのシーンがかなりあったのはもったいなかった。組曲からこれだけの曲数をやると仕方のないことだけど、まだやれることはたくさんあったと思うので、もう一押しほしかったな。

しかし人前で無伴奏バッハを吹くというのは難しく・(他人が)厳しく・疲れますが、それに見合うだけの多幸感がありますね。ぜひまた取り組んでみてほしい、2番が特に僕はおすすめです。

 

27.木管五重奏曲/クルークハルト

メンバー考えれば当然と言えば当然かもしれませんが発表会史上最高クオリティの木管五重奏でした。完成度、安定感、表現力にバランスとすごい高水準でした。木管五重奏って違う楽器が5つも集まっているのにレパートリーが豊富で、「やってるだけ」で楽しめてしまうのにここまで突き詰められるのは本当にすごいことだと思います・・・!

長い曲であまり密度の高いレッスンができなかったですし色々と駆け足だったのでどこまで伝わるか、と心配でしたが、それぞれよく噛み砕いていて、それも本当にすごいと思いました、こんなにできるならもっと言えばよかったな・・・笑

散々ファゴット大きく、と言ってきましたが本番はよく鳴っていました。室内楽はとにかくパワーです、シーンによっては遠鳴りより傍鳴りが求められるんじゃないか、と思います。オケに比べて小さい会場で演奏しがち、というのも理由の一つです。アンサンブルが上手くなりたければまずはダイナミクスレンジを大きくすること、それに尽きます。この木五はオーボエがppの名手なので、大きいだけでは困ってしまうかも。

名演になった理由の一つは、ホルンが木管によく溶ける音でいいアンサンブルをしてくれるのに、フォルテでガツンと出てきてくれること。正直(夜だったのもあるでしょうが)レッスンの時はそうは思わなかったのですが、本番は素晴らしかった。逆にいうと他の4人がもっと音楽に対する音色の変化を意識してほしかった。それぞれいろんなことを仕掛けてくれていいのですが「どうした!?」みたいなフォルティッシモ、「えっ吹いてた?」と思うようなピアニッシモ、そしてそれに付随して音色も変化すると、木管五重奏には無限の可能性が生まれます。

音楽にあった音色、ぜひそれぞれ考えてみて。音色というのは発音とフレージングでずいぶん印象が変わってきます、参考までに。

ぜひぜひまた同じメンツで演奏しに来てください・・・!ホルンがいいのでピアノ入りの六重奏なんかも聴いてみたいですね!できればプーランク以外で。僕の好みですが

 

28.ファゴットソナタ/シュレック

本番でこんなに余裕持って音楽で遊べるアマチュア奏者、他にいるんでしょうか・・・?放任主義の先生、異様なまでのソロの舞台経験、そして自身の技術的なポテンシャルの高さがそうさせるんでしょうけど、いや、本当に、いい意味で異常です。僕はシュレックそこまで好きじゃなかったけど、さすがにやりたくなってきました。

ピアニストとの二重奏そのものを楽しみなさい、というのはいつも言ってることですがここまで体現されると「いつも言う」って大事だなと、思いますね。

フレーズの語尾をちょっと雑に処理してしまうことがあるみたいです。語尾ほど演奏者側と聞いている側にギャップのあるところもないもので、かなり気を遣っていかないといけない要素です、気を付けて。演奏者、つい発音にばかり気がいってしまいがち。

ピアニストとの噛み合いの良さは文句なし、むしろ2人して遊んでいるので何の不安も感じずに聴けました。この曲はいつもバランスが懸念されますが問題無しでした。音程も良かったし今回つかったリードは楽器に合っていると思うのでしばらく使ってみるといいかも。