ファゴットの吹きかた

ファゴットの吹きかたとはなんぞや、と日々葛藤するブログです。

第23回門下発表会でした。講評と次回のことと告知と

こんばんは。ファゴット奏者のとのむぅです。

暖かくなりすっかり春に・・・!と思ったらまた冷え込んできて訳が分かりませんね、皆さん体調など崩れされていませんでしょうか。

3/19に門下発表会が行われました。今回は府中の森芸術劇場のウィーンホールにて。歴代最高にいいホールが取れてしまい、また会場スタッフの皆さんが素晴らしく対応してくださったお陰で、色々なところがスムーズかつ格式高くなりました。もちろん響きも素晴らしく、みんな気持ちよく演奏できていました。

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いやステージひっろ。笑 おかげでいつもより人数が少なく見えます。

そもそも写真撮影にいない子も珍しくないのですが、今回は合計40名ほどの会になりました。

 

総評としては、コロナ禍ということもあり初めましての方が減ってきている一方、いわゆる「常連組」ばかりになってきて、レベルが明らかに上がってきていますね。

参加者にも色々いて、普段は別の先生に定期的にレッスンを受けつつ準備して本番少し前に僕のところに1回くる人、そもそもレッスンは発表会前に1回受ける僕のレッスンだけという人なんかもいるんですが・・・今回特に成長したな!って思ったのは、手前味噌と言われてしまうかもしれませんが普段から僕のところに来てくれている子たち。発表会があれば曲、なければエチュードやオケの楽譜、発表会1か月前くらいまでエチュードを同時進行で練習してくるような子たちが特に目立って成長していた気がします。先生として非常に鼻が高いです。常にレッスンに来るので楽器に触る時間が多い、付き合いが長いほうが何かと師弟関係はうまくいく、というのも大きいでしょうか。

もちろんそれはあくまで僕の主観ですので、僕が教えた子が僕にとってうまく聴こえるのは当たり前です。それを差し引いても、という感じがしたのですが、参加者の皆さんにはどう聴こえたのでしょうか。

一方でうちの発表会をもっともエンジョイしている(?)ようにのは本番前に1回だけ僕のレッスンを受ける子たち、とも言えるかもしれません。ある程度でき上ってからレッスンに来ますから、伝える情報量は多めになるのでそのぶんやることが多くて面白いのでしょうか。

色々なスタイルの参加者がいるのも、またうちの回の特徴でしょうか。

 

また当日、日本ファゴット界最大手(?)YouTubeチャンネルである「えびチャンネル」の取材が入りました!えびチャンネルこと蛯澤亮さんは公私ともにお世話になっている方で、発表会取材のご連絡を頂いたので来ていただきました。その動画がこちら↓

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自分が映像で喋ってる姿ってなかなか新鮮ですね・・・。一部生徒もインタビューを受けていました。ぜひご視聴ください。

えびチャンネルは奏法、楽器、楽器アクセサリー、リードなどなど多岐に渡る動画をアップしていて非常に面白いのでファゴット吹きならチャンネル登録してチェックすることをおすすめします!

 

うちの発表会は年3回行われているため、常に発表会への参加者を募集しています!

発表会参加・お問い合わせフォーム

次回の発表会は7月です。ファゴット吹き、もしくはアンサンブル団体ならどなたでも参加でき、いずれも1回以上僕のレッスンを受けて頂くことが参加の唯一の条件となります。毎回初心者から上級者まで、ここ1年くらいは音大生もちょこちょこ参加してくれるようになりました・・・!

 

夏のひとときコンサート(第24回とのむら門下発表会)

2022年7月23日(土)お昼ごろ開演、夜終演予定

会場:小岩アーバンプラザ ホール

参加費

ファゴットソロ(社会人)15000円

ファゴットソロ(学生)10000円

アンサンブル(1人あたり、編成などによって多少増減します)6000円

エントリー、お待ちしております・・・!ご自身の準備が間に合えばですが、6月いっぱいは受け付けております。申し込み、お問い合わせはこちらへ↓

発表会参加・お問い合わせフォーム

 

さて、ここからは今回の発表会参加者向けの講評記事となります。出演者以外の方には興味のないものになりますのでご了承ください。

と毎回前置きしてるのですが、思った以上にこの講評色んな人に読まれているんですよね・・・謎が深い。

 

1.無言歌/メンデルスゾーン

久しぶりの参加、お疲れさまでした。緊張してるのも伝わってきたけど、それをきちんとコントロールできているようにも見えました。そのため安定感があり、また以前はすごく課題であった音楽表現の幅もとっても広がりました。テクニカルな曲ではなくこの手のメロディックな曲なのでどうなるか、と最初は思っていましたが・・・。とっても上手になりました!まず今回の演奏に自信を持ってほしいです。

よく響くいい音を吹いていて、意外と厄介なリズムも正確でピアニストとのアンサンブル(ここはさすがですね!)も完璧でした。音程もよかったので室内楽として完成度の高い演奏だったと思います。

課題としては、音楽表現をもっと自分の意志で考えられるようになってほしい。それを僕がサポートする、という図式が健全なレッスンの形だと思います。僕が教えたことはほぼすべて出来ていて、曲の魅力も活きていましたが、そこに君の意志がもっと欲しかった。「私はこう演奏したい」「私はこの曲のここが好き」とか、そんな要素がもっと見えるとよかったですね。

マチュアだろうと久しぶりだろうと、5分弱のこのステージはあなたのもので、また聴いている人のために精一杯いいものを聴かせる必要がありますから、そのためにはまず自分が自分の音楽に自信を持ち、意志を乗せることからだと思うんですよね。そんなファゴット吹きになってほしいな。次回も楽しみにしてます!

 

2.コンチェルティーノ/ダビッド

正直ここまで完成度を上げてこれるとは思っていませんでした。もともと音もいいしピアノの音もよく聴けるし、アンサンブル的にも音楽的にも心配していませんでしたが、テクニカルも相当に高水準でした。

前半部、非常に伸びのある音で演奏できていました。バタバタしていたけど、吹いていてすごく気持ちよかったんじゃないかな・・・?とある著名なサキソフォン奏者が「良い音を作るには良い響きの会場で吹くことが一番」と言っていますが、今回の自分の音や響きを愛してあげてくださいね。

速くなってからも大変すばらしかった!ゆっくり丁寧に確実に、何回もしつこく練習すれば理論上吹けない楽譜はもうないですね。じっさいダビッドを吹くということはそーいうことだと僕は思います。この曲はよい練習の仕方と正しい運指が身に付いていれば絶対に吹けますし、逆に身に付いていなければ絶対に吹けません。それは自分が一番よくわかっているんじゃないかな・・・?僕個人としては、君はもう自分のやりたい曲を(使える時間や労力のバランスを取れば)なんでも吹いていいと思います。

足りなかったのはこだわりや個性かな。きれいにまとまっているけど、いわゆる上手い人というのはその上で音楽的な自分のこだわりをとっても大事にします。「私はこう吹きたい」みたいなものがもっと見えれば最高だった。「こうするべき」「こうしてはいけない」ばかりにならないでほしいな、と思います。環境も変わって大変だろうけど、次の参加を楽しみにしています・・・・!卒業おめでとう!

 

3.3つのロマンス/シューマン

少し前なら間違いなく即決で君がMVP!と言っていいくらい素晴らしい3つのロマンスでした。音もいいし技術的にもきちんと解決してきたし、何より歌心が素晴らしかった。これだけ美しくこの曲が歌える楽器奏者(ファゴットに限らず)がどれだけいるだろうか・・・?と思えるくらいに。非常に素晴らしかった。

あと成長したなと思う部分がピアニストとのアンサンブル。乗っかるだけではなく、きちんとやり取りを感じました。ピアノの音をきちんと体に入れてなければ1回の合わせでここまでは普通できませんから、いい準備をしてきたなと思いました。

これは表現・技術の両方に関することですが、課題はビブラートでしょうか。非常に響く会場だったのでそこまで気にはなりませんが、音楽表現を増幅するようなビブラートを選択できるようになったほうがいいかもしれません。大きく歌いたくない音はノンビブラート、クレッシェンドに合わせてビブラートの幅を増やす、ディクレッシェンドを補佐するビブラート、などなどなど。弦楽器やフルートのような響きを増すためのものではなく、音楽表現を助けるようなものになるといいですね。声楽のビブラートを参考にしてみるのもいいかもしれません。

この手の歌モノはもう達人の域と言っていい。いわゆる「エスプリ」な曲に手を付けると・・・どうなるだろうかね。フランセの2つの小品とかケックランの3つの小品とか。ボザもいいですがアレは派手だからどうかな。ボアモルティエ、ドゥビエンヌあたりもいいかもしれませんね。

 

4.ブラジル風バッハ第6番/ヴィラロボス

チューニング、必要だったかな?この曲はチューニングないほうがよかったかも。

よく響く会場が映える曲でした。アンサンブル的にも個人技としても難しい曲だったと思いますが、非常に良く仕上がっていました。

フレーズの終わりがもう少し見える演奏になると良かったかな。音楽が途切れる事なくずっと続いてしまう印象があったので、もう少しカデンツを意識できると違ったかな。これは会場の響きが少し邪魔してくる(響きが残ってしまってフレーズが終われない)なので、そこをリハーサルの時間を使って確認できるとよかった。

フルートはフレーズの終わりに限らず、ディクレッシェンドがもっと上手くなるといいですね。クレッシェンドは非常に上手く、フォルテもピアノもあるんだけど、だんだん小さく、となると不安定だったり収まりが足りなかったり。フルートの難しいところなのでしょうが・・・。ファゴットはよく理解して演奏できていましたが、音楽的にはもう少し積極的でいいですね、守りに入った印象を受けました。曲もいいですし響く会場なのでそれだけで気持ちいいんですが、もう一歩踏み込んでほしかった。

しかしこの難曲をよく仕上げてきました。僕も何年かに1回、この曲の演奏機会ってあるのですが、毎回発見があって面白いですね、今回レッスン中にも色々発見できて僕も面白かったです。

 

5.三重奏曲/オーリック

非常に安定した演奏でした。技術的にかなり高水準で、また3人とも音楽の趣味が似ているのかいいまとまり方をするシーンが多かった。趣味が似る、というのはけっこうアンサンブルするうえで大切なことですよね。これほど高水準なオーリック、なかなか聴けるものではないなと思います。

レッスンでも言いましたがトリオダンシュというのは合わせでどうこうではなく、とにかく一人一人がキッチリやってくればうまくいくものです。よく理解してくれていましたが、しかし・・・。「キッチリやってくる」というのは指をさらってくること(だけ)、では、ないと思います。もちろんミスのないよう練習してくるのは大事なことですが、レッスンの時に僕がアレコレ言った後の方が積極的でいい音楽をしていたのですが、そこから1週間で、レッスン時以上に積極さが減ってしまった印象を受けたのが、僕は少し残念でした。技術的には完成度が上がっていましたから、きっとミスをしないための練習をそれぞれがたくさんしたと思うのですが・・・僕がしてほしかったのはそーいう時間の過ごし方じゃなかったんですよね。

何度でも言いますがテクニック的には非常に高水準でした。無理矢理褒めているのではなく本当にそう思うのですが、だからこそ音楽の変化が乏しいのが余計に気になってしまいました。いい子(奏者)でいようとするのではなく、お客さんに好かれる演奏者、目指してみませんか・・・・?

曲の難易度に対する安定感で言えば全団体でピカイチ。難しいことをきっちりやっているので印象にも残る演奏でしたが、もう一歩、踏み込んでほしかった・・・!

初参加の人たちにあまりいいことが書けなくてごめんなさい。嫌でなければ、ぜひ同じメンバーで別の曲、演奏しに来てくださいね。その時はもっと「やんちゃ」な演奏をしてほしい。心からそう思います。

 

6.交響的協奏曲/ブレヴァール

ハツラツとしたいい演奏でした。2人とも明るい曲の方が得意なのかな、という印象でした。よく響く会場なのも相まって、オケバックでやっても負けない力強いサウンドになっていました。ソロだったりデュエットだったりの場面転換もよく理解して演奏できていました。

フルートは速いタンギングをよくコントロールできていて、また明るくよく響く音を演奏できていました。またピアノ、ファゴットをよく聴いて演奏できていました。レッスンでも言いましたがやっぱり課題はフレーズの収め方。張るところは張っていいのだけど、長い音は大きい短い音は小さい、語尾は必ずと言っていいほど大きい、というのはよくあるクセなので、矯正が必要かなと思います。特にこのくらいの時代の作品はかなり意識的にコントロールしないと逆に作用してしまいます。ドゥビエンヌとかボアモルティエあたりの古典ものを本番なくてもフルートの先生にレッスンしてもらうとパターンが理解できてくるんじゃないかな。

ファゴットは技術的によくここまで追い込みましたね。長いし容赦ない曲ですので、とりあえずなんとかした、というわけでいい練習ができたんだなと思います。そこは(吹かなかったけど)ファゴットのレッスンによる成果も出てきているのかな。しかし練習の仕方はもう理解しているはずですから、技術的になんとかなっている状態でレッスンにきてくれれば・・・とは思いますが、時間的にも少々厳しかったかな。よく練習できていましたし君はフレーズの収め方や歌い方は上手なので、もっと楽器の鳴りや響きをコントロールして「こんな音で!」「こんなイメージで!」というのがもっと出てくるといいですね。技術的な安定のもう一歩先まで狙ってほしかった・・・!

とにかく名コンビだなと思うので、ぜひまた一緒に発表会参加してくださいね!

 

7.ファゴット協奏曲第1楽章/ウェーバー

チューニングはもっとしっかりと。いつまでもAを伸ばす必要はないけど、ステージの上で自分の音がどんなふうに響くか試せる貴重な時間なので大切にして。これはオケでも同様なのですが。

どうなることかと思いましたがとにかく間に合わせていてよかった、苦しかったと思うけど、けっきょくここまで練習できるならそれがもっと早い時期であればレッスンで色んなことを伝えられたので、非常にもったいなかったですね。今回のような(やや非常識でも)遅いテンポでいいのでしっかり完成させる、という意識は必要で、その経験の連続のみで楽器は上手くなります。ごちゃごちゃ練習していても一生変わりませんので、そこは性根を入れ替えるつもりで。本当はもっと教えたいことが山ほどあるのに、こちらも悔しいのです。

タンギングが一種類なのが気になります。冒頭のようなハツラツとした音楽の発音と中間部アリアの声楽家のような発音は全然違うはずなのですが、どっちにも寄らないタンギングで演奏していたのが勿体なかった、本当は自分ももっとやりたいことがあるんじゃないのかな・・・?

とにかく次は準備を早く。楽譜だの練習だのの前にまずはレッスンをお願いすること。今はまだその時期なんじゃないかな。いずれ、そろそろレッスンでも・・・って思うまで自分で練習ができるようになる、かもしれません。またの参加お待ちしてます!

 

8.ファゴット協奏曲第2.3楽章/ウェーバー

本当に、上手くなりました。最初は楽器の鳴らし方ばかりのレッスンになってしまいましたが、最近それが華を開いてきらきらした音がたくさん出るようになりました。そのいい音は今回みたいな大きな会場でこそ活きますね。オケバックでも映えるくらい、いい響きしていました。

音楽表現と技術の練習を両立して行っているので、せめた表現をしても技術がブレない。これ、僕がみんなに大事にしてほしくて言っているのですがなかなか実現できないんですよね。今回君はそれを実現できていました。安心して聴ける、生きた演奏でした。やっぱりウェーバーの2.3楽章って何かあるのかな、やたら名演が多い。曲の魅力は、サンサーンスやヴィヴァルディの方が表現しやすいと思うのですが・・・。

課題は音色の操作、でしょうか。「いい音」というのは曲のシーンによって違うと思いますので、もっと音色をイメージして吹けると良くなると思います。この曲で言えば2楽章と3楽章じゃ全然表情が違うでしょうから、そのイメージがもっとあるとよかったかな。長調短調はよくイメージできているようなのですが。音程がいいので和声感はあるんですよね。その和声感に音色操作が加われば、もっといろんな表現ができるようになるんじゃないかな。音のイメージ、もう少し持ってみて。

 

9.コンチェルティーノ/ダビッド

音楽的なこだわりを感じる演奏でした。よく響く音はさすがで、速いところが技術的にも高水準だったので、音楽表現のこだわりがあるととてもいい演奏になりますね!また音程がすごく良いのでピアノの和音に乗って美しく響いていました。この曲特有の軽い感じもよく出せていました。

完成度の高い演奏だったから気になったのは、前半部分の技術的な粗さでしょうか。ちょっとした発音の質、ちょっとした運指ミス、ちょっとしたトリルの粗さ、スラーの粗さなどなどなど。表現がきちんとできているので非常にもったいなく、せっかくの流れを止めてしまっていました。「まぁ吹けるでしょ」ってフレーズこそテクニカルを大事に。全体的にパラパラした曲だから、練習箇所は多いので仕方ないといえばないのですが・・・。

美しい旋律を持った作品に挑戦するといいかもしれませんね!エルガーシューマンテレマンemollとか。テレマンはちょっと息がきついかな・・・?次回また楽しみにしています!

 

10.二重奏曲/シュタドラー

ご存じないかもしれませんがアンサンブルMVPでした。レッスンでは技術的にかなり荒かった部分が本番で非常にうまくまとまっていて、またそこに素敵な音楽表現が乗っていて、僕が伝えたかったことをきちんと理解し練習してきてくれたのがとっても嬉しかったです。

また楽器がらそこまで演奏機会の多くない時代の曲でしょうからやりづらかったと思うのですが、まったく苦にしておらず、非常に僕好みの演奏でした。やっぱりファゴット吹きからみてクラリネットは「ズルい楽器」なので、そこも余すところなく発揮してくれていました。

特にアンサンブル的に課題がどうこう、って感じではないですが、二重奏ですし、個々の技術的な粗はサッサと潰せばもっと速い段階でこのくらいの演奏はできていたはずですし、準備の質をもっと上げられるといいんでしょうね。

アウェイに感じる場だったとは思うのですが、僕としてはすごく嬉しいエントリーでしたので、懲りずにぜひまた。三重奏でも四重奏でも歓迎致します!

 

11.コンチェルティーノ/クルーセル

僕の演奏でした。このホールは響くわりにピアノの音も聞き取りやすく本当にいいですね、いつかここでリサイタルを、という想いが強くなりました。

とにかく勢いと聴き映えを意識した演奏をしたのですが、まだまだ洗いところも多く反省しています。

ここ最近は音大生が多くなってきてカモフラージュ(?)できるので自分も演奏していますが、次回はどうかな・・・。プログラム内の講師演奏やゲスト演奏、僕はすごく大事だと思うんだけど、反対する声もあるから難しいところ。主役は生徒たちなので、反対する声がある以上それを握りつぶしたくはないんですよね。

 

12.コンチェルティーノ/ダビッド

まずは参加ありがとう、そして素晴らしい演奏でした。表現が非常に豊かで、聴いていてわくわくする演奏でした。持っている歌心やビブラートが大変すばらしく、これからが楽しみです。

大変すばらしい歌心なのですが、今回のような大きな会場だと表現がすこし手元での変化が多く、会場の奥までは届かないことがあるようです。大幅に仕掛ければいいというものでもありませんが、会場の奥にどう響いているか、を考えながら演奏するとより良いものになるかと思いますので、つぎ大きい会場でソロを吹くときは意識してみて。例えばチューニングのときに自分の音がどう響いているか聴いてみるだけでもすこし感覚が掴めるかも。レッスンで触れたタンギングについては問題ないかと思われます。色々なタンギングができるようになるといいですね。シングルも諦めてしまわないで!

 

13.ファゴットソナタヘ短調/テレマン

レッスン時から大きく成長し、大変いい演奏だったと思います。バロックはじめて、レッスン僕だけ、ということで実はとても心配していたのですが・・・。また大きな会場ですが大変よく響く音で演奏できていてそれも良かったです、リードもハマってきましたね!

自分なりに色々と研究した結果なのでしょうが、表現や装飾はどこからの音源由来でしょうか。まずい表現や装飾をつけているわけではないのですが、どこか「借り物」感がぬぐえず、そこが残念でした。どこかから借りてきてもいいのだけど、それを自分のものに消化するのは容易ではありません。もっと音楽の引き出しを増やしていけばできるようになっていきますから、ぜひバロックものたくさん経験してみて。もちろん自分で考えて演奏できるようにならなくてはいけませんから、目指すところはまだまだ先にあるようです。少しずつ子供ではなくなってきます。自分の意志、きちんと人に伝えらえるように。言葉がなくても、僕たちにはファゴットがありますからね。

 

14.コンチェルティーノ/ダビッド

名演ダビッド。テクニックの安定感やオケに溶ける音色・音程はもちろんですが、それがブレる事がないまま非常に豊かな音楽表現を実現していました。レッスン中はそこまで思わないけど、発表会でいつも思うのは僕が1言うと10は理解してくるの、本当にすごいと思う。付き合いが長いのも君自身のセンスのこともあるでしょうが、レッスンでの対応力というのはそのままオケで指揮者(や他奏者)の要求に応える力になりますから、自信をもってその能力を合奏に活かしていってほしい。

そこまでこれが課題!という感じもないです。フレーズの語尾がやや膨らむクセ、ビブラートで音が細くなるクセなんかはもちろん引き続き気にしていってほしいですが、この曲においてはそこまで気になる感じもしませんでした。さらう時間の問題やレッスン回数が少ないこともありますが、もっと攻めた選曲してもいいんじゃないかな。やりたい曲はたくさんあるようだから、もちろんそれが一番なのだけど。次回も楽しみにしています!

 

15.ファゴットソナタ/ボアモルティエ

表現、技術ともに大変完成度の高い演奏でした。ブレスや跳躍など厄介な点もきちんとクリアしていたため、難しいところがいい意味で難しく聴こえず、優雅な印象を受けました。お金を取ってもいいくらいの演奏だったのではないでしょうか。通奏低音との絡み方も絶妙でよく理解して演奏できていました。音楽的なメリハリもしっかりついていました。

課題としては音の伸びや響き、でしょうか。大きな会場ですのでその差が人によって分かりやすく出てしまいました。なかなか広いところで吹くことも多くないでしょうし難しいと思うのですが・・・普段からもっと広い空間を意識し、狭いところで吹くなら多少ビリビリするくらいでいいのかもしれません。ダイナミックな演奏を心がけましょう。また発音も一辺倒になりがちで、曲の雰囲気がらあまり使用シーンは多くありませんがハッキリした発音がもっと多くても良かったですね。今回は発音以外の部分ででしっかりアプローチできていたのでそこまで気にはなりませんでしたが。コロナ禍であるうちは広い会場が続くと思いますので、まずは普段の音出しから広い空間をイメージしてみましょう!

 

16.木管五重奏曲/フェルステル

非常にハイレベルな演奏でした。技術的にもアンサンブル的にも難しいところの多い曲ですが、守りに入ることもなくアンサンブルを楽しんでいて、すごくいい木五メンバーだなと思いました。僕との付き合いが長くなったメンバーも多く、レッスンで伝える情報量が増えてきていますがしっかり活かして来てくれたのも良かったですね、対応力の高さも素晴らしいと思います。

皆さん素晴らしかったですが、会場との相性もあるのでしょうがメリハリの利いたホルンが非常にいい仕事をしていました。また鳴らせ鳴らせと言い続けていたファゴットも本番ではよく響いていて安心しました。

僕は色々な指導先で「アンサンブルはけっきょく個人技の集まり」と言って回っています。今回のホルン・ファゴットに関して本当にそれに尽きるところです。アンサンブルメンバー、取り組んでいる曲、聴いているお客様への愛情表現はもうけっきょく個人個人がきっちりやってくること以外にないんですよね。合わせや合奏中に何かしようとしてもそれはすり合わせにしかならないので。だから個人の伸びが僕はとっても嬉しかった。もちろん、この木五の要と言ってもいいクラリネットはきらきらしていたし、オーボエのリーダーシップも素晴らしかったしフルートの職人芸も光っていました。やっぱり木五っていいですね。

木五を同じメンバーで2回以上の参加、ってたぶん今までほとんどいなくて。今後もぜひエントリーしてください。楽しみにしています!

 

17.演奏会用独奏曲/ピエルネ

君のファゴットは本当に積極果敢で、レッスンでも本番でも聴いていてワクワクします。その攻めの姿勢は忘れないでいてほしいなと思います。以前は力任せなところが多く心配でしたが、体の使い方がうまくなってコントロールが取れるようになったのが今回特に感じた成長でした。楽器に慣れたことと、環境にも慣れたのも大きいかな。

やりたいことはきっちり伝わってきました。この広い会場で、ピアノがガンガン鳴るこの曲でそれができたのが素晴らしい。表現力に関しては言うことないですね、表現をするための技術が非常に高い!

課題は安定感かな。出だしこけるのとか、大して難しくもないところでぽろぽろミスが起きるのは、練習が「上手くいった場合」を意識しているからだと思います。同じフレーズを10回吹いて、一番うまくいったパターンのことは忘れて、一番うまくいかなかったパターンを意識し、そこを改善するような練習を心がけましょう。積極さの裏返しなのかもしれませんが、積極性と安定感は必ず同居できるはず。練習の質で安定感を掴めるようになるといいですね・・・!

それと、単純にテクニック強化という意味でもっといろんな譜面を読むといいかな。発表会はNGでも少しの練習時間とレッスンに通う気力があればエチュードに挑戦してみるのもいいと思いますよ!ワイセンボーンやミルデ以外にも面白いエチュードは結構いろいろあります。

 

18.組曲/タンスマン

非常にいい演奏でした!リズム感、ソルフェージュ、ピアノとのアンサンブルがうまく、難しいリズムの音楽ですが綺麗にかみ合っていました。また積極的に表現もできていたので、丁寧に練習ができていたのだと思います。

少々音程が気になるところがあります。もちろん合奏ではありませんからそこまで音程音程、って感じでもないのですが、逸脱してしまう音程が一部あるようです。特に遅いところでそれが顕著で、また音程が悪いので楽器の鳴りも殺されてしまうのが気になりました。リズミカルなところがうまい分、気になってしまいました。音程と鳴りは気になりましたが、この曲で一番難しいフレージングに関しては、よく考えられていました。レッスンもそればかりだったもんね。長いフレーズを繋がって聴こえる演奏をするのは非常に難しいのですが、そこをクリアしていたのでトントン、というところでしょうか。

パワーがあってテクニックがあり、それでいて繊細な曲も実は得意なのが君なので、うまくバランスを取れるといいですね。もちろんパワーやら繊細さなんてリードや楽器の調子一つだったりするのですが・・・。

それにしても2つの楽器で3曲乗りばん、見事でした。聴きに来ていた知人が「現代のドゥビエンヌ」と称していました。

 

19.3つの小品/ケックラン

ブランク明け、そしてレッスンを受けては初参加でしたね、お疲れ様でした。若者にはぜったいに手が出ないジャンルの作品を渋み旨味タップリに演奏できていました。レッスンでお伝えしたいくつかの小技もうまく使えていましたね。間の取り方もうまく、難しいはずの表現をいい感じに見せることができていました。

1音1音大切に、という印象も受けました。なので昔は結構気になっていた音程も非常に良く、ピアノとも綺麗に共鳴していました。一方で、音の強弱はあっても濃淡があまりなく、歌わなくていい音を歌ってしまったり、その逆があったり、というのが気になりました。しかしその手の判断が特に難しい曲ですから、他の曲だとそこまで気にならないのでしょうが・・・。

しかし復帰戦、ご自分のリードで、ここまでの演奏、大変すばらしいと思います。今後も楽しみにしております!

 

20.シシリエンヌとアレグロジョコーゾ/グロヴレ

アレグロジョコーゾ、か、と思ったんですよね、最初に。苦手なんじゃないかなと思ったんですが、レッスンの時からちっともそんな感じがせず、本当に君は日に日にレベルアップしていますね。今回この曲に限らず、本当に上手くなりました。音大生と見紛う音の良さ、というのは以前からしていますが、もうそこらの音大生よりよっぽどいい音で演奏できていました。大きな会場にもよく響いていました。

講評というのは褒めるところではないと思っているのですが、誉め言葉ばっかり浮かびますね・・・。パワフルな表現が上手になったので、そのぶん繊細なところが映えるようになりました。場面転換の多い曲ですが、これだけ表現幅があるとちっとも苦になりませんね。また技術的に音楽的にと、大変すばらしかった。

テノール音域以上がちょっと細くなる傾向にあるようです。それでいい事もありますが、クセなのか楽器の傾向なのかちょっと分かりませんが、少し鳴らし気味にするとバランスよくなるかもしれません。課題というとそのくらいしか浮かびませんね・・・。ぜひまた色々な曲に取り組んでいってみてください。サンサーンスとかケックランとかやってみたら色々発見あると思いますよ!

 

21.演奏会用独奏曲/ピエルネ

変化に富んだ演奏で非常に楽しめました。力任せなところがないので自然と楽器が鳴っていい音がよく響いていました。また技術的にとても安定していました、丁寧に練習してきたのが分かります。今回のような練習の仕方をぜひ色んな曲で試してみて。理論上もう吹けない楽譜なんてないはず。

技術的な部分で言うと、特筆すべきは音程の良さ。楽器の力もあるでしょうが、ピアノの和音と美しく共鳴していました。ファゴットはいい道具を使って正しい運指で吹けば基本的に音程が取れる楽器ですが、「余計なこと」をして音痴になりがちです。「余計なこと」は荒い練習をしていると染みつきがちなので、音程の良さも丁寧な練習が効果があったんじゃないかなと僕は思います。

課題としては、この曲に限らずフランスもの特有にありがちな「遊び心」かなと思います。対面のレッスンが少なかったので伝えきれなかった部分が多かったのですが・・・例えば冒頭のタイのついた三連のリズムとか、拍子が変わってからのリズムの取り方とか。すごく真っ当にリズムを取りにいっているのですが、そこに遊び心がもっと感じられるとよかったかな。

フランセとかディティーユとかケックランとか、フランス作品にもう少し取り組んでみると掴めるかもしれませんね。次の機会も楽しみにしていますね!

 

22.レチタティーヴォアレグロ/ギャロン

別の本番でも言った気がするけど、音の抜けが本当に素晴らしい。大きな会場なのに、奥の奥までたくさんいい音が響いていました。この曲を演奏する上でこれほど大事な技術もなく、ハマり役だなぁ、と思って聴いていました。楽器とか吹き方とかリードとかいろんな理由があるんだと思うけど、音抜けの良さは長所なので大事にしていってほしいなと思います。

技術的なことに関しては、けっこうレッスンやったしこの曲に関してはだいたい伝わっていると思うので特に言うことはないです。楽器が鳴る音程感、というのも少し理解できてきたかな、という印象を受けました。

ピアノとの合わせが1回なのでなかなか難しいのですが・・・もっといいアンサンブルができると良かったかな。ズレてるとか合ってないということではなく、シンクロ感がもっとあるとよかったかな。練習しているときにピアノの音が頭の中で鳴っていればいいのですが、そこまで余裕なかったかな。どこでどんな音型が鳴っているか、できればどんな和音が鳴っているか、というのも頭に入れておくと合わせや本番が何倍も楽しくなりますので、次はぜひピアノ譜見ながら練習してみて。

 

23.五重奏曲/カプレ

やっぱり1楽章から聴きたかったな・・・。それはともかく、5人でのリズム感や歌い方の共有がなされていてそれが心地よい演奏でした。お互いよく聴きあっている証拠だと思います。それと音量のバランスが非常に良かった。全員の音がきちんと聴こえてきました。

管楽器組の細かい連符がもっと聴きとれるとよりよかったでしょうか。サラサラ、っと指を回すだけではなく1音1音きちんと自分がソルフェージュできていないと客席には音は飛びません。アンサンブルとしての精度は非常に高かったですが、一方で個々の魅力がもっと聴きたいなぁという印象もありました。また少々フレーズが短い人が多く、1小節ごと、休符ごとに途切れて聴こえるところが多いのも気になりました。それが5人でそろってしまっているので流れが止まってしまうことが多かったです。ある意味、共有されてる、とも言えますが・・・アンサンブルが乱れてもいいからもっと個々の意志が出てくるとよりよかったのかな、と思います。

 

24.四重奏曲/スマリーズ

レッスンではアンサンブル的なことよりも個々の技術についての言及が多かったですが、言ったことをよく理解し、繰り返しゆっくり練習してきたのがよく伝わりました。同じ楽器が4本揃って合わないはずはないので、まずは個人個人の技量から。今後ファゴットアンサンブルに挑むときはそれぞれが無伴奏ソロを演奏するような気持ちで譜読みしてくるときっとうまくいきますよ!

ファゴットアンサンブルの最大の欠点は音量バランスがとりづらいこと、という話をしたと思いますが、今回の演奏は欠点をしっかり補えていたと思います。それは前述の通り、それぞれが旋律パートを丁寧に練習してきたのでよく響きよく鳴ってくれていました。バランスを取る、って実はすごく単純なことだったりするんでしょうね。今回得た経験を今後もぜひ活かしてみて。また、いっぱいソロ曲聴いたでしょうから興味があれば次回はぜひソロで参戦してくださいね!

またテンポ感の共有がよくなされていて、お互いよく聴きあっているんだな、と思いました。オケでもきっといいアンサンブルができることでしょう!

あ、最後の音、とっっっても良かった!音が出なかった人も、ある意味いい仕事をしました。攻めたppというのも曲の中で2~3回くらいあってもいいものですね。

 

25.三重奏曲/フランセ

舞台に上がったらもう演奏家ですから、音を出すまでの振る舞いにも少し気を遣いましょう。ここは発表会だけど、なにかとコンサートの体裁を保とうと(僕が)しているのはその手の意識を高めるためでもあります。

しかしまぁこれだけ難しい曲を綿密にアンサンブルできたのは大変すばらしいことです。余計なことをしなくても1人1人がきっちり演奏すればそれだけで名演、というのはさすがの名曲といいますか。

個人の技量に関して言うことはほとんどないですが、この編成やっぱりファゴットが埋もれるんですよ。僕はオーボエ・ピアノとのトリオの時は完全にパワー重視セッティングで挑みます。ファゴット吹きというフィルターを外してぜひ自分たちの演奏を聴いてみてほしい、ファゴット、音小さいでしょ?ピアノは音数のこともあるし、オーボエはいい音を犠牲にした音量を吹いていない(それでいいんです)のにファゴットは頑なに表記のダイナミクスを守ろうとしてしまうので、結果としてあまりバランスがよくありませんでした。この状態でオーボエサイドからできることって「もっと吹いてよ」と声かけるくらいしかできず、最終的にこのバランスにそれぞれの耳が慣れてしまうという状態になっていたのではないでしょうか。アンサンブルのためにもっと太い音を求めましょう。

オーボエの技術的な精度は相当なものでした。音の存在感があるので周りは相当演奏しやすいでしょうね。強弱もきちんとコントロールできているのですが、それでも初めから終わりまで同じような音色が続いてしまうのが気になりました。例えば長調短調で変えてみる、フォルテとピアノで(音量ではなく音色を)変えてみる、などの工夫が見えても良かったかな。音楽の変化を音量以外で表現できるようになれるといいですね。

ピアノはもう上手すぎて全然言うことがないのですが・・・音数が増えてくると拍子感が失われてしまうことがあるのでそこは惜しかったかな。この曲において拍子感というのは和声感以上に大切な要素になってくると思うので。そこまでの余力はないのかもしれませんが・・・

それでも我が発表会稀に見る名演だったと思います。同じ編成、僕の知る限りで他にもたくさん曲はありますからぜひ同じメンバーでまた参加しに来てください!

 

26.演奏会用独奏曲/ピエルネ

いい演奏でした。聴き映えのする曲を演奏する、というのはつまりハードルの上がる行為でもあるのですが、少ない準備期間でよくここまでやりました。きちんと聴き映えていたし、安心して聴いていられました。レッスン時とは大違いで。

技術的にこの曲を苦にする事はもうないでしょうから、欲を言えばもっと積極的なものが聴きたかったかな。フォルテはもっと大きく、歌うところはもっと豊かな音で、リズムはもっと遊び心を持って。最後の追い込みの練習で小さくまとまりにいってしまったんじゃないかな、それがちょっと惜しかった。

ピアノをよく聴けるようになったなと思います。音程がいいのは前からですが、1人で吹くよりピアノと吹いてる時の方が音程がいいのはよく聴いている証拠。ただし聴いているときはいいのですが、吹きはじめの瞬間にアンサンブルの相方であるピアニストの音ではなく、自らのカウント重視になって毎回ほんの少し(たまに大幅に)ズレます。カウントしていいのだけど、そのカウントはピアニストの音楽からきちんと拾って。立場は違えどステージ上では相方であること、もうそろそろ理解できるんじゃないかな。

もう映える曲は大丈夫だから、映えない曲をやりましょう。バロックものとか古典ものとか。次回も楽しみにしてます!

 

27.レチタティーヴォアレグロ/ギャロン

いや名演でした。僕はこの曲を人前で演奏したことはないですが、ここまで完成度の高いギャロンってそうそう聴けるものでもないなと思います。音の密度が高く、会場の響きをうまく使えているため音がよく抜けて聴こえてきました。全体的な音抜けがいいからこそ気になったのは短い音・細かい連符のとき鳴りが弱まること。理想としては逆がよくて、短い音や細かい音の音抜けを意識して、長い音はあまり抜けないよう意識すると遠くで聴くとバランスよく聴こえますので試してみて。

またアウフタクトから始まるフレーズが非常に美しく演奏できているのですが、扱いがすべて一緒なので少し退屈に感じました。例えば出だしから強いアウフタクトがあってもいいんじゃないかな?そういった音楽もこの曲にはいくつかあるはず。あとクレッシェンドの仕掛けがいつも遅いので、気付いたらフォルテになっていた、という箇所がいくつかありました。クレッシェンドやディクレッシェンドは結果ではなく経緯の方が聴いている人の印象には残りますから、仕掛け方をもっと考えられるといいですね。

もうこんな簡単な曲はいいですから、名曲難曲に挑みましょう!遠くて大変だとは思いますが次回のエントリー楽しみにしてます!

 

28.ファゴット協奏曲第1楽章/フンメル

トリに相応しい演奏でした。納得いかない部分もあるだろうけど、それ含めてフンメル、なんだと思いますよ。先生としてハッキリ言っておきたいのは、テンポ感に関しては君は悪くないので何も反省することはないです、大丈夫。やりたいテンポはちゃんと伝わってきていました。

全体的にコンパクトに吹きましたか?積極性が君の魅力であり場合によっては欠点にもなりうるので一長一短ですが、シーンによってはちょっとこじんまり聴こえたりもしました。何しろピアノで弾いてしまうとオケのパートはペラペラなので、ファゴットだけで世界観を作る必要があるのがこの曲(というかコンチェルトの類ほぼすべて)ですから、そこはもう少し意識が欲しかったかな。

僕や君に限らずフンメルはファゴット吹きにとってあこがれの1曲で、それに全力で向き合ってここまでレベルの高い演奏ができたことをぜひ誇りに思ってほしい。僕も自分が大学の卒業試験で吹いたフンメルは一ミリも納得してないけど誇りに思っています。

 

 

 

 

ぼやき

今回、全体的に講評ちょっと短いかしら。その分要約したつもりなんですが、どうでしょうかね。僕の講評に対する講評がほしい。

発表会の演奏を聴いていて一番楽しいのは他の誰でもなく僕自身で、僕が1曲演奏するのはその楽しませてもらっている御礼の気持ちがあるので、実は毎回すごく気合が入ってます。コンディションはそりゃ悪いんですが、その中でどのくらいできるか、という意味でやっぱり僕自身いい修行の場になっているんですよね。とはいえ講師演奏への反対意見はごもっとも。アンコールみたいにやればいいんだけど、やっぱりトリをつとめた子がちゃんとトリであってほしいんだよなぁ・・・難しいな。