こんにちは!やはり年3回更新のブログとなっています。災害的に暑い日が続いていますがいかがお過ごしですか?
僕は最近は色々な出会いと経験により、演奏に対しての精神的な向き合い方が変わってきています。精神的なところ、ってあんまり気にしたことないんだけど変わるものですね。こうご期待(?)
それから最近、YouTubeでの活動を再開(?)しました。「ふぁごまみれ」という団体・チャンネル名で動画投稿をしています。よかったらチェックしてみてくださいね↓
さて先日、第27回となる門下発表会が開催されました。
決して広い会場ではないのですが、ファゴットにとって心地いい響きに加えてピアノの音もよく、みんなのびのび演奏できていました。今回はアンサンブルのエントリーも数団体あり、それぞれ精度の高い演奏を聴かせてくれました。
ところで今回で第27回。次回は11月なので28回。30回という節目が見えてきました。来年7月開催予定の第30回の発表会は、ちょっとだけ趣向を変えたイベントにしようと考えています。近いうちに各種SNSでお知らせしますね。まずは次回のことから。
秋のひとときコンサート(第28回とのむら門下発表会)
2023年11月18日(土)午後開演(19時すぎ終演予定)
立川サロンスタジオFIX(JR立川駅より徒歩3分)
参加費(会場代、ピアニスト謝礼、レッスン代1回分など込み)
ファゴットソロ(社会人)15000円
ファゴットソロ(学生)10000円
アンサンブル参加 おひとり6000円(編成により多少の上限あり)
とにかく「上達」がテーマの発表会です。ファゴットを吹いている方もしくはアンサンブル団体(ファゴットを含まなくてもOKです)なら、僕のレッスンを1回以上受ければどなたでも出演できます。お問い合わせ・出演申し込みは下記フォームからどうぞ。
さてここからは第27回発表会の講評記事となります。
出演者や聴いていた方以外には意味のない内容になりますことご理解ください。
1.5つの小品より/ワイセンボーン
初出場、どうだったかな。見てる限りはすごく落ち着いて見えました。技術的にかなり色々詰め込んでいるので考えることは多かったと思うけど、発音、息の取り方や運指が正しく定着した演奏ができていたと思います。特にスタカートは理想的な奏法ができていると思います。あとは今の奏法を定着させながら、強弱を含めた表現力が増すといいですね。
あとは発表会とはいえ、何分間か人に自分の演奏を聴いてもらう場なのだから、礼の時は(演技でいいから)笑顔をつくること。ステージの上では「音楽家」の演技をしましょう。
まだまだこれからだと思うから、色んな人の演奏を聴いて得た刺激を忘れないように。
どんな音でこの名曲を奏でたいか、という意思が伝わってくる演奏でした。抑揚の付け方なんかとっても理想的で、またいつかに比べて音程も安定してきたように思えます。こだわりを感じる演奏でした。
その「こだわり」の中にピアニストとのアンサンブルが含まれていない(ように聴こえた)のが非常に残念でした。ソナタは室内楽であり二重奏であるので、自分の音とピアノの音がどう響くか、が演奏結果ですので、そこ含めてこだわれるとよかったですね。また楽器の傾向でしょうが、響きが多いのはいいのですがちょっと音色が一辺倒で、明るい音が多すぎるようにも思えました。暗い音がすべてではありませんが、曲が曲ですからね・・・。そういった意味ではマーチは雰囲気に合っていましたので、他をコントロールできるといいですね。
個人的には、セッティングは暗めに、明るいところは技術で変化をつける、方が効果的に思えますので、少し意識づけしてみてください。
あんまりほめ過ぎても良くないけど、このクオリティでケックランが吹ける人はそういないと思います。ピアニストとのアンサンブルも絶妙で、この曲の難しさが難しく聴こえない演奏でした。大変すばらしかったと思います。
曲想の変化はよく表現できていました。拍子の変化が目まぐるしい曲なので、そこを活かすともっと色が出たはずなので考えてみるといいですね。それから、いわゆる「音色の変化」は乏しかったです。後半やハイトーンを気持ちよく吹けるリードで1~2楽章を技術て吹く、という印象でしたが逆だともっと良かったかな?技術で楽器を鳴らし、薄いところはリードの適正で勝負。そうすればもっと変化を作る余裕ができたかも。
そのくらいかな。今回の演奏は誇っていいと思います。
4.ゲスト演奏
先ほども書きましたが、さいきん「ふぁごまみれ」という団体名で、鈴木多恵子さん、泉田章子さんとアンサンブル活動をしています。主にYouTubeでの活動を考えていますが、宣伝も兼ねて遊びにきてもらって2曲ほど演奏しました。チャンネルこちら↓
5.2つのモノディ/ケックラン
ケックラン繋がりで、僕が演奏しました。ケックランの無伴奏作品で、つかみどころも聴きどころもないなぁ、と思いながらなんとかかんとか演奏しました。
6.二重奏曲より/ライナグル
理想的な二重奏の形、だと思いました。聴きあい支えあい、また刺激しあい煽りあい、のような。レッスンの時は支えあいと調和重視、という感じでしたが、指摘した通り、本番は駆け引きがたくさんあって、ライブ感のある非常にいいアンサンブルができていたと思います。
僕はファゴットで演奏する形態の中で、Fg二重奏が一番好きです。真髄と言ってもいい、と思っています。
シンプルで簡単な曲でこれができたので、もう少し内容の多い曲で今回のようなアンサンブルができるといいですね。そのために「技術」はあると思うので、これからも磨いていって、いつかまたお2人での演奏聞かせてください。
7.五重奏曲より/ニールセン
名曲にして大曲、の3分の1でしたが、いい演奏だったと思います。合わせ回数が少なくても1人1人キッチリやればできるものですね。いい意味で緊張感もあったでしょうし、みっちり練習するよりこのくらいの方がいいんじゃないか、と僕は思います。
とにかく5人とも音楽表現に積極的なので、それがうまくかみ合ったところがたくさんあって飽きのこない演奏でした。ニールセンは複雑すぎずシンプルすぎず、本当にやってて楽しい曲ですね。
フルートは曲のこともあってか、本来しづらいはずの調和ができていてよかったと思います。和音の上に乗るのが上手いので、他のメンバー思いのフルートですね。それはそれで素晴らしいので、シーンによってはもっとわがままで横柄で理不尽なところも見せてほしい。「俺に合わせないの?え?なんで?」くらいの立ち位置でちょうどいい、と思うけどどうでしょうか。
オーボエは自分でどう思うかは分からないけどちっとも見劣りしないクオリティでした。特に弱奏がうまく、これがオケでもできればどんな上手いオケにでも乗れると思います!が、フォルテの時は逆に力任せになりすぎかな。力では豊かな音は得られないので、フォルテは広い部屋に自分の音が響き渡るようなイメージを持つといいです。それは楽器が大きくなっても一緒です。
クラリネットはミスを引きずらないこと。言うほど周りは気にしてないし、引きずらないで次にいく、ということができるようになるといいですね。ミスが起きるのは攻めた結果だから本番中に恥じないで。「考えないようにする」は生物的に不可能なので、「ミスを取り返そうとしないこと」が肝心かも。
ホルンは木五百戦錬磨、って感じ(実際どうかは存じ上げませんが)。周りへの調和と自分の音の善し悪し、リソースの割き方が難しいと思うんだけどそのへんのさじ加減がよかった。個人的には木五のホルンはもっと勝手でいいと思うので、次回やる機会があったら、周りに対してどうこうはいったん置いといて、もっと自分がいい音で吹くことを重視してみて。
ファゴットは積極的でとってもよかったです。周りに調和しにいくことと我が道をいく(周りに振り回されない)ことのバランスを取るのがうまいね。しかしやっぱり木五のファゴットはとにかくパワーが大事。いい音だしよく鳴っているからオケだったら十分なんだと思うけど・・・。楽器の性能かもしれないし、リードのこともあるかもしれません。僕は木五の時はパワー全振りです。それでも足りないなって思うことばかりですが・・・
8.三重奏曲/ドニゼッティ
そもそも厄介な編成だな、と僕もやるたびに思います。はっきり言ってあまり調和する編成とは思えないし、レパートリーもあるようであまりないし・・・
出だしの和音、決めて欲しかった・・・音程もそうだけどバランスの悪さと音色の差が大きくて少し残念でした。3人だからこそ難しいのですが、まずは管楽器同士でうまくハマった和音の響きをもっと経験していくことからでしょうか。旋律的なところはお2人とも積極的で非常に良かっただけに、惜しかったですね。
フルートは楽器がよく鳴っていて大変すばらしかったと思います。周りがどう、は差し置いてまずは自分がいい音を、という楽器だと思いますから、いい仕事されていました。旋律の終わりが雑になる傾向にあるので、少し気を遣ってみるようにしてください。
ファゴットはこの手の曲はとにかく「ヴィルトゥオーゾ」でなくてはいけません。意味はよく調べてみてください。言葉の意味じゃなくて、イメージで。相手がフルートであれば、なおさらです。そういう意味でもやっぱり難しい編成ですね・・・。
9.三重奏曲/プーランク
この曲のいちばん難しいところは、曲の魅力に奏者の魅力が殺されるところだな、とやるたびに聴くたびに思いますね・・・。
まずオーボエ・ファゴットお2人に共通する部分として、音程の「低い」に関して無頓着である印象があるところ。シンプルに音程が低いところが多いのと、フレーズの終わりのぶら下がりを気にせず吹いてしまうこと、どちらも頻繁に見受けられるので、支えを失ってしまわないように注意して。もちろん音程が上がってしまうと何もできなくなってしまう楽器ではあるのですが。
それぞれがよそを向いて表現をしたり、突然3人で調和しなきゃいけなかったり。その方向転換も難しい曲ですね。それぞれソロに関してはよく考えているし表現への意欲もあるのだけど、相手のソロに対して自分がどうするか、ソロから調和に向かうときにどうするか、が不足していて、結果としては少し散らかった印象の演奏になってしまっていました。また2人ともフレーズが短いことが多く、せっかくの歌心が分断されるところも多かったです。
「理想のプーランク」があると思いますから、それと自分たちがどう解離しているのか、聴き比べてみると色々発見があるかもしれません。
メジャーどころでフランセ、プレヴィン。マイナーどころだとラリエ、ミルデ、シュターミッツ。オリジナルに絞ってもこれだけレパートリーがあるのでぜひ色々やってみてくださいね。その上でプーランクに戻ってくると発見があるはず。
レッスンからの伸び幅にビックリしました。いわゆる「一夜漬け」だとしてもここまで仕上がるなら立派なものです。表現に対しての積極性は初めて会った頃からあったと思いますが、それが今回は非常にいい形で表れていたと思います。「積極性」はいつだって空回りとの戦いなので、今回の演奏の感覚を忘れないようにするといいでしょう。
ここはおさめて、ここは向かって、ここは引いて・・・などなど、かなり口うるさく言いましたがそれは最低限の「様式」で、やればとりあえず形になる、みたいなところに限って指摘してきました。よく理解し表現できていたと思います。
あと後半になってもバレてる印象が音に出ていなかったのもすごいことです!体の使い方が上手いのでしょうか。素直に感心しました。
あとはバロック特有の自由さだったり即興性みたいなところまで踏み込めるとよかったですね。本番への一夜漬け、大変立派ですが、僕も頑張りますのでレッスンに向けた小さな一夜漬けにも期待してます!
11.コンチェルティーノ/ダビッド
第30回への展望はケックランと君のダビッドを聴いて、実現を決断しました。特筆すべきは音楽的な安定感。「おかしなことをしない」と「やりたいことをやる」の両立が安定して出せているので、旋律を奏でる、ということをよく感覚で理解できているのだと思います。それがあれば技術的なことは後から必ずついてくるので、今の感覚を忘れないで。ダビッドは理解しやすい音楽だから、それも助けてくれたと思います。
表現が素晴らしいと気になってくるのは技術。明るく突き抜けてくるような音だとか、ハッとするような鋭い発音だとか、息をのむような弱い発音だとか、表現のためのテクニックをもっと磨く意識を持って。基本はイメージから身に付く技術だと思うので、普段出さないような音も練習で出してみる習慣をつけるといいかもね。
速いところも安定していましたが、少しフレーズが止まりがちなので意識を変えてみて。休符の取り方とその前後の処理や準備でフレーズの切れ方はどうとでも変わってくると思います。
昔から音の線が細い印象がありましたが、今回の演奏の豊かなこと。大変な名演だったと思います。曲へのイメージと実現が確実になされていて、聴いていてまったく飽きのこない演奏ができていました。これだけ自分のやりたいことができれば、アンサンブルや合奏で人のやりたいことも理解できるようになると思うので、そこへのアプローチが面白くなってくるんじゃないでしょうか。この先とっても楽しみです。
レッスンでも触れましたがとにかく課題は音色の変化。表現幅が広がってくると、やはり音量や発音の差は限界があり、音色の変化が必要になってきます。「ちょっと汚いかな」と思ってしまう強い音も、「ちょっと抑え過ぎかな」と思ってしまう死んだ音も、時には有効かもしれません。「いい音」のイメージを捨てて、「この音楽にはこんな音を」のイメージを持てるようになればもっともっと音楽表現が楽しくなるはず。
僕の良く知らない曲で教えた子がいい演奏をすると、やってみてくなるね。どこかで機会があったら僕もハールストン、挑戦してみようと思います。
13.プルミエソロ/ブルドー
僕のレッスンって3種類あるんですよね。形にしてあげるレッスン、整えるレッスン、そして今回君にした散らかすレッスン。良くも悪くも刺激になったと思いますが、そのせいで本番いろいろ考えること多くなっちゃったかな・・・。笑 とにかくこの発表会は上達が目的なので、それでよかったとは思っています。
そもそも、テレマンやヴィヴァルディ、ウェーバーやダビッド、シュターミッツやドゥビエンヌを経ずにこの曲に挑戦しているのでそれなりに飛び級なチョイスだったようにも思えます。もちろん技術的に難しい曲ではないけど、やっぱりフランス人の作品はね、いい演奏しようと思うと難しいです。
色々反省もあると思うけど、今意識してほしいのは音色の変化。終始ダークな音で、この曲はそれでいいところが多いけど、やっぱり突き抜けた明るい音もどこかでは聴きたい。それじゃないと変化のない演奏になってしまうしダークさも活きないので。フォックスはきちんと響かせるとダークな音が出る楽器だから、もう一歩踏み込めるとよかったですね。
とはいえトリを任せただけのハイクオリティな演奏はできていたと思うので、次回も楽しみにしていますね!